アマゾンと差別化するための リアル店舗の3つの回答

買物がもっと便利になる
買物体験の質の向上

 「vsアマゾン」が合言葉のアメリカ小売業が、リアル店舗にわざわざ来てもらう価値をどうつくろうとしているのか。そのポイントを整理してみる。
 第1は、「買物がもっと便利になる」ためのサービスである。ウォルマートは、「お客がアプリで注文して店頭で受け取る」サービスを強化している。オンラインで注文した商品を、自宅に配達してもらうよりも、「好きな時間に近くの店舗で受け取りたい」という消費者のニーズに対応したものである。
 ウォルマートは、高さ5m×幅2.5mの巨大な「ピックアップタワー」を店内に設置し、スマホに届いたバーコードをタワーの画面にかざせば、自動で注文商品が出てきて、受け取ることのできる店舗を増やしている(2018年末で約700店舗に導入)。
 また、生鮮食品を含む食品の買物に関しては、お客がスマホのアプリで買物商品を注文すると、店舗のスタッフが売場を回って商品をピックアップ(買物代行)し、駐車場の専用場所で買物商品を受け取れる「カーブサイド・ピックアップ」というサービスが、アメリカで急速に普及している。
photo201908 店内に入らなくても買物が完結し、店内を探し回る「買物時間」を短縮できる新しい「買物体験」が、アメリカの消費者に支持 さらにウォルマートは、テキサス州ダラス郊外のスーパーセンターで、カーブサイド・ピックアップをオートメーション化(無人化)する実験を行っていた。オンラインで注文された生鮮食品を含むすべての商品を、自動販売機のような仕組みで無人で受け取ることのできるサービスである(写真参照)。
 このように、いかに便利な買物体験を提供できるかが、リアル店舗がネット販売に対抗するための回答のひとつ目であることは間違いないとおもう。

自宅で在庫を確認
欠品のクレームを撲滅

 店舗受け取り以外の便利な買物体験のひとつが、「事前在庫確認サービス」である。
 リアル店舗における消費者の最大のクレームは、「わざわざ時間とコストをかけて来店したのに、商品が欠品していた」ことである。欠品は、客離れの最大の原因でもある。…(続きは本誌をご覧ください