「ハードボール理論」を実践し現場の「徹底力」を高めよう

意識は行動を変えない 行動が意識を変える

 数年前から、「ハードボール戦略」という経営理論が注目されている(ジョージ・ストーク著「『徹底力』を呼び覚ませ! 圧勝するためのハードボール宣言」)。同書は、トヨタなどの強い企業の実例を挙げながら、圧倒的に勝ち続けるための経営戦略を提言している。
 その根幹の理論である「ハードボール理論」は、ハーバードビジネススクールの教材にも使われており、エクセレントカンパニーの組織開発のバイブルともいわれている。
 ハードボール理論を要約すると、圧倒的に市場を席巻し、勝ち続けるためには、組織に属する人材の「行動」を改革し、現場の「徹底力」を高めることが重要であると書かれている。
 つまり、経営方針やプランニングは優れていても、現場での実行力がソフトボールのように柔らかくて徹底されない組織は、競争に弱い。ハードボールのように硬くて強い徹底力を持った組織のみが、圧倒的に勝ち続けることができると、組織の行動改革の重要性を説いている。
 たとえば、有名なユニ・チャームの「サップス経営」は、毎週月曜日に社員全員の行動計画を15分単位で可視化・共有化し、組織に属する全員が共通のゴールに向かって分業化・連携し、行動改革を行い、現場の徹底力を高めることで戦いに勝つためのマネジメント手法である。サップス経営は、このハードボール理論を応用・発展させた強い組織をつくるための行動改革のバイブルである。
 本誌でも何回か掲載したが、以下の文章は、ハードボール理論の有名な一節である。
 「意識」は「行動」を変えない。
 「行動」が「意識」を変える。
 頭でっかちの理論やプランでは競争には勝てない。組織に属する人員一人ひとりの行動を変えることによって、初めて意識改革を行うことができる。それが強い組織づくりの黄金律である。

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