コンセッショナリー
との協働で固定客を増やす
狭小商圏で顧客満足を最大化するためには、日常生活に必要な多くのカテゴリー(品群)をラインロビング(品群・品種単位で品揃えを増やすこと)する必要がある。
最近は、ドラッグストア(DgS)のような非食品出身の業態が、狭小商圏高シェアのために、一般食品にとどまらず、青果、精肉、惣菜、インストアベーカリー(前月号の杏林堂薬局新津店の事例参照)まで導入する事例も出てきている。
とはいえ、専門性の高いカテゴリーを、すべて直営で管理することは困難であり、直営で競争力の強いノウハウを構築するためには時間と金もかかる。コアコンピタンス(競争戦略上の核となる技術)に関しては直営で取組みながらも、それ以外の技術やカテゴリーに関しては、大胆にアウトソーシングする方法がある。
特定カテゴリーを特定企業に委託するやり方は、大きく3つの方法に分けることができる。第1の方法が「コンセッショナリー」である。第2の方法が「ラックジョバー」である。そして、第3の方法が「カテゴリーキャプテン」である。
第1の方法のコンセッショナリー(チェーン)とは、大型店の売場の一角を借りて出店している専門店のことである。通常、売場を区切らず、店名も出さないために、直営売場と区別しにくいが、専門性の高い商品であり、その売場自体が、強力な集客力を持つ。
今月号で紹介した「知久屋」「むすんでひらいて」は、総菜に関する強力なコンセッショナリー(略称コンセ)である。百貨店や大型スーパーにコンセとして入ることが多いが、最近は大型DgSのコンセとして入るケースも増えている。
専門性が高く、さらに「よりよいものをより安く」提供するので、固定客を獲得する強力な核売場になることが多い。総菜のコンセを入れた某大型店は、総菜だけで月商1,000万円を売るケースもあるそうだ。
コンセの開拓は、地元で知る人ぞ知る専門店を開拓することから始まることが多い(ローカルブランド開発ともいう)。とはいえ、チェーンストア側が、「ウチの店にテナントとして入れてやる」という高飛車な態度では、良い専門店との協働はできない。良いコンセは、強いこだわりと、自分達の仕事に対する強いプライドを持っているからだ。あくまでも、顧客満足最大化のための「対等な協働」という姿勢を示すことが重要である。
そして、良いコンセと協働することができたら、次の段階は、そのコンセを多店舗展開した場合に、品質が低下したり、バラツキが生まれないように、物流、生産、品質管理の「仕組みづくり」を小売業(チェーンストア)とコンセが運命共同体として「協働」していくことが重要である。良い条件が出れば別のコンセに切り替えるような「条件商談的」な駆け引きよりも、長期的に協働し、共に繁栄していこうとする「会社対会社」の取組みが必要である。
ラックジョバーの活用で
苦手売場を克服する