DgSで健康相談したい人は
わずか3%しかいない
近年、生鮮食品を含む「フード&ドラッグ+調剤」の新業態開発に挑戦するドラッグストア(DgS)企業が増えている。今月号で紹介した「くすりの福太郎千葉ニュータウン店」も、そうした挑戦の事例のひとつである。
ECで何でも購入できる時において、狭小商圏立地で「便利な店」を目指すことは、リアル店舗の不可欠の生き残り戦略である。フード&ドラッグ+調剤は究極の便利なリアル店舗であるといっていいだろう。
一方で、「ドラッグストアという看板を背負っている以上、地域でもっとも身近な「かかりつけ薬局」になることは、未来のDgSにとってのもうひとつの生き残り戦略である。と同時にDgSの社会的な使命を果たすことでもある。
しかし、コロナ禍になって「どこで健康相談したいですか?」というアンケート調査で、DgSで健康相談したいと答えた人はわずか3%しかいなかった(新生堂薬局・水田怜社長の対談より引用)。現在の物販だけのDgSには、健康相談の機能を期待する地域の生活者がほとんどいないことが分かる調査結果だった。
しかも、化粧品に関しては顧客台帳によって、曲がりなりにも顧客管理しているが(高額のカウンセリング化粧品購入者に偏っているが)、DgSの最重点の主力部門である「ヘルスケア(OTC医薬品、健康食品)」に関してはほとんど顧客管理をしていない。つまり、誰がどんなOTC医薬品を購入しているかというデータは放置されており、まったく管理されていないわけだ。
この状態は、地域のヘルスケアハブを目指すDgSにとっては、異常な状態であると認識すべきだろう。
かつての薬局・薬店の店主は、地域の固定客の顔も名前も健康状態も家族構成もよく理解していた。あるOTC医薬品を継続的に購入している患者さんがいれば、「もしかしたら別の病気かもしれないから、病院に行った方がいいよ」と自然に受診勧奨していた。病院もしくは行政と地域住民の間に立って、地域住民の健康管理・受診勧奨の役割を果たすことが、本来のDgSの役割である。
潜在患者の発見も
DgSの役割である
今年、某大学病院の院長と話をする機会があった。その院長は、「子宮内膜症」の権威である。子宮内膜症は、女性の7人に一人が罹患するといわれている婦人病である。重症化すると激しい痛みを伴い、最悪の場合は不妊になってしまう。30代以降に発症することが多いそうだ。
その院長によれば……続きは本誌をご覧ください