月刊MDの使命は、産業のレベルアップに貢献すること

紙の業界紙・誌の
未来は暗いと思う

 今月号で創刊から320号になる。320号÷12ヵ月≒27年もの期間、紙の月刊誌を発行し続けたことになる。
 よくも四半世紀にわたって、発行日を守って月刊誌を発行し続けたなと我ながら感心している。
 とはいうものの、世はネット全盛時代。かつては業界専門紙・誌しか報道しなかった情報も、インターネットで簡単に入手することができる。「紙の業界紙・誌の未来は暗い」と、いつも自分に言い聞かせている。
 事実、チェーンドラッグストア協会が設立される2年前の、1997年に創刊した月刊MDと同じ時期に、ドラッグストア向けの専門誌が2誌創刊されたが、2誌ともにすでに廃刊になっている。業界情報を紙で入手する時代ではないからだ。
 紙の業界紙・誌の「価値」とは何か? ひとつは低空飛行するヘリコプターであるべきだと私は思っている。マスメディアは、高い高度を飛ぶ飛行機である。飛行機からも、特定の業界の森で起きていることはわかる。しかし、業界専門紙・誌は、特定の森を低空で飛ぶヘリコプターで得られる情報を武器にすべきであり、それが専門紙・誌の価値であると思う。
 図表1は日本のドラッグストアが、高度成長時代が終わった1990年代以降の「右肩下がり時代」になぜ大成長したのか?を分析したものである。

図表1低空で専門情報を得る
でも地上には降りない

 日本のドラッグストアは、1990年代以降の「平成時代」に爆発的に成長した産業である。その成長理由を、低空のヘリコプターで観察した結果を、論理的にまとめたものが図表1である。
 昭和時代は単なる薬局で、成長軌道に乗れなかった日本のドラッグストアが、平成時代に爆発的に成長し爆発的に成長した理由の第1が「法律の変化」である(図表1)。
 1999年に「大店法」が廃止されたことによって、現在の300坪ドラッグストアの出店が加速した。また、1997年に廃止された「再販制度」によって、医薬品と化粧品の低価格販売ができるようになり、ドラッグストアは安売りによって大きな売上をつくって大きく成長した。
 また、同じ1997年頃から始まった「医薬分業」の普及によって、調剤併設型ドラッグストアという革新的なビジネスモデルが誕生した。
 さらに、………続きは本誌をご覧ください