法律と消費者の変化
「時流」に乗って成長
ウエルシアとツルハが経営統合し、新生「ツルハHD」が誕生した。グループ売上高2兆円という巨大企業が誕生したわけである。
月刊MDは今月号で通巻336号になるので、創刊から28年が経過したことになる。
月刊MDが創刊した28年前に、まさかドラッグストア(DgS)で売上高2兆円の巨大企業が誕生するとは夢にも思っていなかった。当時はDgSの勃興期であり、県単位でDgSのチェーン化を目指す新興企業が群雄割拠していた。
しかし、その後、多くの新興DgS企業は倒産したり、買収されたりと姿を消していった。現在残っている大手DgS企業、中堅DgS企業はなぜ、市場から退場せずに成長を続けることができたのだろうか?
成長理由の第1は、「時流に乗った」ことである。1990年代後半は、大きな変化が起きた時期である。第1の変化は、「法律の変化」である。
1997年に「再販制度」が撤廃され、再販で定価が守られていた医薬品、化粧品の安売りができるようになった。初期のDgSは医薬品と化粧品の安売りをトリガーにして売上を大きく増やした。
さらに、1999年に「大店法」が完全撤廃されて、現在の郊外型DgSの主流である売場面積250~300坪の規模の店舗の大量出店が可能になった。
また、「医薬分業」が一気に進んだ時期も1990年代後半である。医薬分業で調剤薬局は成長したが、DgSの調剤部門も飛躍的に成長した。昭和時代の薬局、DgSは、処方せんを受けることなどほぼ不可能だったので、医薬分業の進展という時流は、DgSの劇的な成長を後押しした。
一方、「パーソナル消費」が大きく拡大し、その受け皿として、DgSという業態は大きく成長した。現在はヘアケアで棚14本ある店も珍しくないが、昭和時代には棚1本を埋める商品も存在しなかった。
ヘアケアでいえばノンシリコン、ダメージケア、ボリュームアップなどの「パーソナル消費」の拡大という大きな変化が、昭和時代ではなくて平成時代にDgSを大きく成長させた。
つまり、DgSは、「法律の変化」と「消費者の変化」という時流に乗ることで、大きな成長を遂げたことがわかる。
個人と会社の財布を
明確に分けた企業が成長
成長理由の第2は、………続きは本誌をご覧ください