平成28年熊本地震の被害に遭われた小売業の皆様へ

現在、皆様は、突如襲った「熊本大地震」で被災された地域のお客様の暮らしを守るために、戦場のような地域を東奔西走なさっていることと存じます。

自然災害は、何の前触れもなく突然に発生します。流通業のジャーナリストとして30年以上の経験をもつ私(日野眞克)も、何度も何度も被災地で奮闘する小売業の皆様の献身的な努力と行動を目撃し、取材してまいりました。「雲仙普賢岳の火砕流」「北海道南西沖地震」「阪神淡路大地震」「東日本大震災」など、 幾度となく、自然災害は繰り返されて来ました。それは、日本という国で生きる我々の宿命です。

物流が止まり、孤立化した地域消費者の暮らしを守るために、いち早く店を開けて、商品をお客様の手元に届けるために無欲無私で奮闘する、小売・流通業で働く人達の献身的な努力を目の当たりにするたびに、地域のライフラインである小売業で働くことの尊さと使命の大きさを再認識します。

小売業は、地域の「暮らし」と「雇用」を守るライフライン(生命線)であり、地域社会になくてはならないインフラ(社会基盤)です。物流がストップした緊急時には、ネット販売はなんの役にも立ちません。店舗を構えて、地域とともに生きる小売業だけが、「地域の暮らしを守る」という崇高な使命を果たすことができるのです。

これをお読み下さっている皆様も、地域とともに生きる小売業の現場で働くことの素晴らしさと責任の重さを胸に、孤立化した地域で奮闘なさっていることと存じます。皆様は、月刊『マーチャンダイジング』を発行する我々にとっての誇りであります。

最後になりますが、この度の熊本大地震の被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げます。震災の被害が長期化する中で、肉体的、精神的な負担が蓄積なさっていることとは存じますが、くれぐれもご自愛ください。一日も早くお立ち直りになりますよう、お祈り申し上げます。

2016年4月20日
株式会社ニュー・フォーマット研究所代表取締役
月刊『マーチャンダイジング』主幹
日野眞克