「中分類」はMDの「戦略単位」である

プロダクツ(製品)とマーチャンダイズ(商品)

本誌(月刊MD)では、「製品」 (Products)と「商品」(Merchandise)という言葉を明確に使い分けている。新製品という言葉は使わず、新商品と表現することにしている。
本誌の誌名であるマーチャンダイジング(MD)とは、メーカーがつくった製品の売り方を開発し、魂を入れて、「製品」を「商品」に変える活動である。
売り方の開発には、どう仕入れるかという調達方法、どう運ぶかという物流の革新のようなサプライチェーン改革も含まれる。「この製品をいくらの売価に値付けすれば、顧客満足と経済合理性を両立できるか」を決定するプライシング(値付け)技術も、重要なMD活動だ。
また、品目毎の陳列量と、陳列位置を決定する「商品構成」の設計図の作成。つくる立場、売る立場から、「使う立場、買う立場」に商品の並べ方を再編集する「商品分類」の設計図の作成。値入率の高い部門(商品)と低い部門(商品)を組み合わせて、店全体で適正利益を確保する「マージンミックス(相乗積管理)」の設計図を作成することも、MD技術の根幹である。
さらに、POPを使った店頭での価値訴求や、陳列演出も重要な「売り方」の開発である。私は、「製品」を「商品」に変えるMD活動は、製造業が製品をつくることと同じくらい重要な技術であると思う。
「いいものをつくれば必ず売れるはずだ」という技術を過信しすぎているメーカーも多いが、いくらいいものをつくっても、消費者にその商品の良さや使い方が伝わらなければ、商品は売れない。
モノ不足時代と違って、成熟消費市場に突入した日本では、いいものをつくること以上に、商品の「売り方」を開発するMDの重要性が高まっている。
日本はモノづくりの国ではあるが、モノをつくることと匹敵するくらい、売り方を開発することは重要な社会貢献である。小売・流通業で働く人達は、自分達のMD活動に、もっと「誇りと自信」を持つべきである。(…続きは本誌をご覧ください

月刊マーチャンダイジング 2013.6月号