店の「バラツキ」をなくすことが 顧客満足の向上につながる

 チェーンストア経営とは、同じ看板の店を多店舗展開するシステムである。多店舗展開する小売企業が、最も重視すべき経営戦略のひとつが、人や店による「バラツキ」をなくし、どの店に行っても、一定の範囲で「均質化」された良質なサービスを受けられる状態を維持することである。つまり「標準化」を進めなければならない(図表1参照)。
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 たとえば、同じ看板のA店に行くと、欠品も少なく、クリンリネスが徹底され、レジ対応も親切だったが、同じ看板のB店に行くと、欠品だらけで、売り場も汚く、レジ対応は無愛想だったとする。
 こうした店によるバラツキは、その店の「看板」(ブランド)を信用して来店した顧客に対する裏切り行為である。
 つまり、人や店によるバラツキを極力少なくする「標準化」というプロセスは、チェーンストアとしての最大の「顧客満足対策」である。
 標準化することで、結果としてローコストオペレーションを実現することもできるが、標準化の目的は、コスト削減ではなくて、顧客満足の最大化であるという原理原則を忘れてはならない。
 今月号の巻頭特集は『第2回顧客満足度調査』である(28ページ参照)。この調査は、有力DgS企業30社を、本誌の独断と偏見で選び、1企業あたり2店舗をミステリーショッパー(覆面調査員)が訪問。清掃状況、基本接客(レジ対応など)、売場管理の状態などを採点し、その結果を集計したものだ。
 本調査は、企業にランキングをつけることが目的ではない。1企業2店舗と絶対的な「n数」が少ないので、統計的な価値はあまり高くないだろう。
 たまたまミステリーショッパーが訪問した店舗のレジ対応が悪いと、採点は一気に悪くなるし、逆にたまたま良ければ採点は一気に良くなる。
 つまり、ランキングをつけることが目的なのではなくて、ショッパー(買物客)が店のどういう項目を重視しているかを体系化し、店舗間のバラツキを少なくするチェックリストとして活用してもらいたいというのが最大の目的なのだ。
 そして、同一チェーンの「店舗間のバラツキが実はとても大きい」という実態を、読者に理解してもらいたいということが、2番目の目的である。
 店舗間のバラツキが大きいということは、ダメな店によってそのチェーン全体の顧客満足度が低下し、顧客離れや売上の低下が必ず引き起こされているということだ。
 つまり、ダメな店の平均点を底上げし、店舗間のバラツキを少なくすることで、顧客満足度が高まり、結果としてチェーン全体の売上を増やすことができる。
 標準化は、時図は最も効果的な「売上対策」でもある。

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