単なる販売チャネルでは リアル店舗は生き残れない
ネット販売が急成長している。アメリカでも、ウォルマートの売上が前年比1桁成長なのに対して、アマゾンは前年比40.6%も売上を伸ばしている。
ネット販売の最大の特徴である「ロングテール」というビジネスモデルは、(1)品目数が多く、(2)スペック(仕様)が明確な商材(ナショナルブランド[NB]主体)で、(3)広域商圏型というもので、同モデルのリアル店舗を駆逐しようとしている。
最初に淘汰されたのが「書店」だ。続いて「家電量販店」がネット販売に大きくシェアを奪われた。日本においても、ヤマダ電機が2013年9月中間連結決算で営業損益23億円の赤字に転落した。
「ショールーミング」(店頭で商品をチェックして、その場でスマートフォンを使って最も安いサイトに注文する)に対抗するためには、ネット販売よりも低価格を追求しなければならない。
しかし、店舗を構えて、在庫を抱え、人件費がかかるリアル店舗のコスト構造では、長期的に価格面でネット販売に勝ち続けることは困難である。
ネット販売に淘汰される売り方の第2は、「ハイ&ロー」である。売価を下げて広域から集客するハイ&ロー業態は、ネット販売には勝てない。いくら広域商圏といっても、リアル店舗の「来店可能商圏人口(距離)」には限界があるが、ネット販売の商圏は全国、全世界である。
「薄利多売」では、リアル店舗はネット販売には勝てない。多少安いからといって、車で1時間近くもかけて来店するくらいであれば、ネットで注文して翌日配達の方が便利である。
つまり、ネット販売の発達によって、「ハイ&ロー」が衰退し、「EDLP(エブリデーロープライス)」が主流になる。
リアル店舗がネット販売に対して優位に立てるニーズは、「コンビニエンスニーズ(近くて便利)」と「エンターテインメントニーズ(楽しい)」である(図表1)。コンビニエンスニーズを追求するリアル店舗は、狭小商圏化が進み、必然的にEDLP化が進む。
ライブ感のあるエンターテインメントニーズは、リアル店舗だけが提供できる付加価値でる。最近、休日にイオンモールで一日過ごす家族連れを「イオニスト」という造語で表現するそうだ。イオンモールは、有名タレントを呼んだり、季節ごとに年間計画でイベントを企画することで、エンターテインメント性を演出し、集客しているわけだ。ライブで味わえる「楽しさ」は、リアル店舗だけが提供できる価値である。
オリジナル商品を強化し 店のブランドをつくる
ネット販売に対して差別化するための最大の経営戦略は、…
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