定番の「在庫適正化」で 既存店の売上を増やそう!

欠品率を改善すると 売上は大幅に増加

 折り込みチラシの効果が劇的に低下し、働く女性の増加によって特定の日にしか安く買えない「ハイ&ロー」型の販促効果が下がり、(1)定番重視、(2)EDLP型の「売り方」が主流になりつつある。
 現在の日本の小売業のもっとも重要な売上増加作戦は、今そこにある「定番売場」を最適化し、機会損失を防ぎ、既存店と既存売場の売上を最大化させることである。
 図表1は、定番売場の状態を、(1)在庫あり(適正在庫状態)、(2)在庫なし(ゼロ欠品)、(3)品薄状態、(4)VOID(完全欠品)の4つに分類したものである。
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 定番売場における最大の機会損失は、店頭欠品である。ある小売企業が、その企業独自の欠品率の数値を数%改善したところ、その企業の定番売上は6%も増加したそうである。
 しかも、すべての商品の欠品率を改善したのではなくて、売れ筋の重点商品だけに限定して、在庫適正化した。つまり、売れ筋(重点商品)の「フェース数と奥行在庫数」を変更し、適正在庫状態を一定期間維持し、欠品率を改善することで、カテゴリー全体の売上が6%も増えたことになる。
 まさに、もっとも優先順位が高くて、効果の高い既存店の売上対策は、売れ筋(重点商品)の在庫適正化であることが分かる。
 正しい店頭欠品の定義は、「最低在庫量を下回った状態」と定義づけられる。一般的には、「ゼロ欠品(棚に商品がない状態)」のことを店頭欠品というが、正しくは「品薄状態」も欠品である。
 最低在庫量を下回った「品薄状態の欠品」は、「統計的な欠品」である。詳細な計算式はここでは示さないが、「その商品が次回の納品までに99%の確率で欠品しないために、最低何個の初期在庫があればいいか」を確率論で計算した数値である。
 当然、販売数量の多い商品ほど最低在庫量は多くなるし、発注から納品までのリードタイムが長い商品ほど最低在庫量は多くなる。

統計的欠品と心理的欠品

 店頭欠品には「統計的欠品」と同時に、「心理的欠品」も存在する。
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