ナチュラルフーズを支持する
プロシューマーの台頭
6月15日から1週間、毎年開催している「第18回アメリカ視察ツアー」に行ってきた。今年感じた大きな経年変化のひとつが、「ナチュラルフーズ」の市場が急速に拡大していることである。
以前のアメリカ人は、「高脂肪・高カロリーのジャンクフードを食べて、サプリメントで栄養補給」というライフスタイルだったが、最近は食事の段階で安全・安心なナチュラルフーズを摂取することで、健康的な体質に改善するという「食のライフスタイル」に大きく変化している。
しかも、そうしたライフスタイルは、一握りの富裕層だけのものではなくて、すそ野が広がり「大衆化」している。たとえば低所得者層に支給される「フードスタンプ(食糧自給券)」も、最近「SNAP」(Supplemental Nutrition Assistance Program)と名称が変更された。直訳すると「補助的栄養支援プログラム」である。つまり、ジャンクフードばかり食べていた低所得者層に対しても、健康に気を遣った食事をとるライフスタイルを推奨しているわけだ。ジャンクフードの代名詞だったマクドナルドが、国際的に客離れが進んでいるのはもはや必然である。
インターネットによる高度情報社会では、専門的かつ豊富な知識をもった「プロシューマー(プロの消費者)」の数がどんどん増えている。もはや「無知な消費者」はネット難民の一部の高齢者に過ぎず、プロシューマーが消費者のマジョリティ(大多数)である。
プロシューマーの台頭によって、トレーサビリティ(食品の生産・製造工程の可視化)、フェアトレード(農場・工場での労働環境などの可視化)といった、専門的な生産・製造工程に強い関心を持つ消費者が増えている。
価格は安いが、どこで、どんな方法で製造されているか分からないマクドナルドや低価格PB(プライベートブランド)に対して、プロシューマーが拒否反応を起こすのは、一部の「こだわり層」の特殊な反応ではなくて、一般的な購買行動の変化であると捉えるべきである。
専門的な知識を共有するプロシューマーは、オーガニック(安全・安心)、グルテンフリー(小麦不使用)、プロバイオティクス(乳酸菌の一種)などの専門的な情報・知識をSNS(ソーシャルネットワークサービス)で瞬時に共有し、その商品を購買するかどうかを決定している。
もはや「価格が半値で味は変わらない」といった低価格PBに騙される「無知な消費者」はマイナー(一握り)である。
だからアメリカでも日本でも「低価格だけのPB」が売れないのである。
コスト削減一辺倒では
顧客満足は高まらない
もうひとつの経年変化は、…
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