「買い方」が変わると
「売り方」が変わる
本誌のサブタイトルは、「売り方で売れ方が変わる」であるが、これからは「買い方で売り方が変わり、売れ方も変わる」時代に突入する。
オムニチャネル化によって、買物客の「買い方」の選択肢はどんどん多様化する。写真解説1~6は、2016年1月に取材したディスカウントストア「ターゲット」の「cartwheel」というパーソナルクーポンの出るアプリの操作手順である。
スマートフォン上のcartwheelというアイコンをクリックすると(写真1)、クーポンサイトにログインする(写真2)。すべてのクーポン情報を選択してもよいが、会員登録した顧客が、写真3の「FOR YOU」をクリックすると、自分の購買履歴に応じた「パーソナルクーポン」を表示することができる。
たとえば、子育て中のお母さんで、定期的にベビー用品を購入している顧客には、ベビー紙おむつのクーポンや、併買する可能性の高い商品のクーポン情報が表示される。また、ベビー紙おむつのAブランドを定期購入している顧客に対して、Bブランドメーカーへのブランドスイッチを促進するようなクーポンを、Bブランドメーカーと協働して仕掛けることもできる。
つまり、オムニチャネル化によって、「不特定多数」の販促から、「特定多数」の販促への移行が加速すると予想できる。砂地に水を撒くような不特定多数に対する販促の「テレビCM」や「チラシ」より、ターゲットを絞っているので販促のROA(投資対効果)は高い。しかも、ITの活用コストは、どんどん低価格化しているので、テレビCMやチラシ販促よりもはるかに
低コストでパーソナル(個別)な販促を仕掛けることができる。
FOODカテゴリーを選択して、食品のクーポン情報を閲覧し、「V8野菜ジュース」25%オフを選択する(写真4)と、写真5のようなバーコード画面が出るので、指でバーコードをタッチする。すると、ターゲットの店内レイアウトの中で、「V8野菜ジュース」がどこに販売されているかが赤い矢印で示される。
レイアウト図は写真6のようにタッチすることで、自由に拡大縮小できる。その位置情報をもとに商品の場所まで到着した際に、商品のバーコードをスマートフォンでスキャンすれば、今度はクーポンで割引されたバーコードの付いた画面が保存される。複数の商品のクーポンを使う場合も同様の手順でバーコードを登録すると、すべての商品の割引情報を保存することができる。会計のときにはレジ担当者がスマートフォンのバーコードをスキャンすることで、自動的にすべての商品が割引価格になる。
「日進月歩」ではなくて
「秒進分歩」でITが進化する