購買行動の変化で 売場レイアウトは変わる

中分類の組み合わせが
売場レイアウト技術

 今月号の特集は、毎年恒例の「売場レイアウト調査特集」である。さまざまな製造業界に分散している商品を、使う立場・買う立場に立って再編集(アソートメント)する「売場レイアウト技術」は、小売・流通業にとって最も重要な技術のひとつであり、さまざまなメーカーの商品を取り扱う小売・流通業だけが提案できる付加価値でもある。201606_zuhyo01
 売場レイアウトは、主通路設定と、図表1の商品分類体系の中の「中分類(カテゴリー)」をどう組み合わせるかの技術である。購買行動の単位であるカテゴリーの組み合わせ方で、関連購買、衝動購買などの「売れ方」は大きく変わる。「一緒にこの商品も買おう」「こんな便利な商品があるなら買おう」といった購買行動を誘発するのが売場レイアウトだ。
 売場レイアウトに関する技術論の詳細は触れないが、基本的な原理原則だけを以下にまとめてみた。

(1)マグネット売場
 売場レイアウトの出発点は、主通路動線(第1マグネット)をどう配置するかである。買上点数の多さは、主通路動線の長さと比例するので、なるべく主通路を長く設定することが基本である。ただし、都市型の店舗は、陳列線の長さよりも、エンド提案を重視する売場レイアウトになる。
 主通路の次に決定することは、マグネット売場である。既に御存知の読者も多いと思うが、マグネット売場の意味を図表2に示した。201606_zuhyo02

(2)TPOS分類
 中分類(カテゴリー)の組み合わせ方の基本は、「売る立場、つくる立場」を否定して、「使う立場、買う立場」に立ってカテゴリーを再編集することである。その方法論を「TPOS分類」という(図表3)。201606_zuhyo03

 「同じときに使うものは近くに関連させる」「同じ場所で使うものは近くに関連させる」「同じシーンで使うものは近くに陳列する」といった「使う立場」や「ライフスタイル」でカテゴリーを再編集することによって、買いやすさは大きく向上する。
 今回、編集部がへとへとになりながら調査した売場レイアウト図を見ていただくと、それぞれの企業のTPOS分類の考え方が理解できるはずだ。例えば、今回調査したSM(スーパーマーケット)では、「ワインと惣菜」「ワインとチーズ」といった食のライフスタイルを提案するような売場レイアウトになっていた。以前はなかったカテゴリーの組み合わせ方である。
 一方、使う立場だけでなくて、「買う立場」に立ったカテゴリーの組み合わせ方もある。代表的な方法論は、「購買頻度が近いカテゴリー」は近くに関連させることである。洗濯洗剤、食器洗剤などの消耗品を近くでまとめて陳列する方法は、「購買頻度関連」という考え方である。例えば、洗濯用品と洗濯洗剤を近くに陳列するのが「TPOS分類」であるのに対して、洗濯洗剤のような消耗品を、洗濯用品とは別の売場でまとめるのが「購買頻度別分類」である。

ショッパーマーケティングを
高度化しよう

(3)通路の両側関連の原則

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