年間客単価の高い固定客に 長期的に信頼される店になろう

ファミリー世帯が減り
単身世帯がマジョリティになる

 日本の総人口が減少する一方で、コンビニやドラッグストア(DgS)、食品スーパーの店舗数は増加傾向が続いている。つまり、1店舗当たりの商圏人口は減少している。これを、われわれは「狭小商圏化」と呼んでいる。すべての業態に共通する商圏の変化と言ってよい。
 コンビニの商圏は、かつては半径500メートルの距離と言われていたが、今は半径350メートルまで縮小している。同様に、すべての業態の商圏距離は、かつてよりも狭く、小さくなっている。では「狭小商圏化」の時代に小売業は何をしなければいけないのか? 
 第1のマーチャンダイジング(MD)のアプローチは「客層」の拡大である。コンビニは、かつて男性客がメインターゲットであったが、今は女性客を増やすことで客層の拡大を図っている。ファミリーマートが注力するDgS併設の店舗開発や、ローソンがシャンプーの詰め替え用を扱うなど、これらは女性客を意識した客層の拡大を意図したものである。
 一方、女性客が中心だったDgSも、食品、弁当、酒類を強化したり、営業時間を長くすることで、男性客を増やそうとしている。今月号で紹介しているウエルシア薬局は、酒類の核売場化と、長時間営業によって、他のDgSよりも男性客の比率が高いことが特徴である。限られた狭小商圏の中で客数を増やすためには、客層を拡大することが重要である。201609_zuhyo01
 一方、これまでの消費はファミリーが主体であった。専業主婦と夫と子供がいる世帯が消費の中心であった。ところが、あと5年後には、いわゆるファミリー世帯が減少し、単身世帯が34%に達して、消費のマジョリティに取って替わることになる(図表1)。また、働く女性が増えて、専業主婦は減少する。家族向けのMDではなく、個人に向けたMDへの転換がますます重要になる。

狭小商圏時代には
年間客単価を重視する

 売上というのは、商圏人口×来店頻度×1品単価×買上点数に分解することができる。売上を上げるには、4つの数字のうちどこかの数字を上げればよい。商圏を広くとるのか、来店頻度を増やすのか、単価の高い商品を販売するのか、買上点数を増やすのか。このうち、客単価は、「1品単価×買上点数」に分解できる。
 ここで重要なのは、…
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