「顧客軸」のMDで 小商圏高シェアを実現

成熟市場に突入した
日本の小売業界

 2014年7月に実施された「商業統計」の確定値(2016年6月30日確定)によると、日本の小売業の「事業所数(企業数)」は約78万事業所と、小売業を経営する事業所数(企業数)は激減している。1998年の約142万事業所(社)と比較すると半分以下だ。つまり、個人商店の数が減少し、チェーンストア(大手小売業)による寡占化が進んでいるというわけだ。
 小売業の「年間販売額(総売上高)」は約122兆円である。2014年の調査は、集計対象(有効回答)事業所による集計結果であり、調査方法が異なるので単純比較はできない。しかし、小売業の年間販売額がピークだった1997年の約147兆円と比べると、右肩下がりに減少しており、日本の小売業界は、完全な成熟市場に突入していることが分かる。
 ちなみに本誌(月刊MD)の創刊は1997年で、われわれ月刊MDは、成熟市場というパラダイムシフトにおける「経営戦略」と「MD戦略」を提言し続けてきたといえる。
 一方、小売業の総売場面積は、総売上高がピークの1997年以降も増加し続けた。年間販売額(総売上高)は減少し、総売場面積が増加した結果、オーバーストアによる狭小商圏化が進み、1店舗当たりの売上高の減少を招いた。しかし、2007年の総売場面積1億4,328万㎡に対して、2014年の総売場面積は1億3,485万㎡と、7年間で総売場面積は減少に転じている。
 ドラッグストア(DgS)のような時流に乗った業態の大量出店が続く一方で、総合スーパー(GMS)のように効率の悪い店舗や業態の閉店が増加し、優勝劣敗が進んだことが分かる。また、ネット販売の成長によって、ネットに売上を奪われているリアル店舗の売場面積の減少が加速していることが推測される。
 つまり、すべての企業や業態が、仲良くみんなで成長できた時代が終わり、伸びる企業(業態)と衰退する企業(業態)の明暗がはっきりと分かれる時代がきたのだ。他社(他業態)からシェアを奪わなければ成長できない時代ともいえる。

固定客の問題を解決する
ソリューションストアを目指せ

 市場(パイ)が増えない時代においては、…

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