秒進分歩で向上する
米国のオムニチャネル戦略
11月にニューヨークに行き、アメリカの携帯電話を借りて、チェーンストアのアプリを入れて(写真1)、実際に使ってみるという「オムニチャネル体感ツアー」を実施した(詳細は次号で報告する)。
例えば、ドラッグストアのウォルグリーンのアプリを使って、スマホで撮影した写真の画像を送信し、その写真の現像が「何時にできるか? どこの店で受け取るか?」を事前に予約し、実際に写真を店舗に受け取りに行ってみた。支払いは店舗清算であるが、データが事前に送られていたので、短時間で写真現像を受け取ることができた。
また、ウォルグリーンのアプリには「Live Doctor Consultation」という、テレビ電話で医者に診察してもらうメニューがあり、そのサービスも体感してみた。自分の症状(胃が痛いなど)に応じて、すぐに診察してくれる医者の顔写真と経歴が一覧できる。その中から、良いと思われる医者を選択し、49ドルをクレジットカードで支払うと、10分程度で医者とつながる。外傷がある場合は、事前に患部を写真撮影しておくと、症状を見ながら診察してくれる(写真2)。
最後に、その場で医者が処方箋を書いてくれて、自宅近くのウォルグリーンに処方箋をデータ送信してくれる。調剤の受け取り時間もメールが来るので、その時間に店舗に調剤を受け取りに行ってみた。49ドルの診察料は費用が高く感じるかもしれないが、アメリカで医者の診察を受けると、200ドル以上かかることも多く、そういう意味では割安感があるらしい。ウォルグリーンも、こうした医者と患者をつなぐサービスを強化していく方針のようだ。
また、「Shop Kick」というGPSを使った、店内に入るとポイントが自動でたまるサービスや、ディスカウントストアのターゲットのクーポンアプリ「CartWheel」なども体感してきた。CartWheelは、事前にクーポンの出ている商品をアプリ内のカートにどんどん入れておくと、最後にひとつのバーコードで、カートに入れたすべての商品のクーポン割引が一括清算できるサービスである。レジ担当者の作業負担が低く、短時間で清算できるクーポンサービスである。
買物体験を向上する
アプリの利用率が高い
「あれもできる、これもできる、なんでもできる」というのが、最新のオムニチャネル技術のようであるが、…