シェアリングエコノミーが ビジネスを劇的に変える

当日・小口配送を
個人ドライバーに委託

 これからの企業は、大胆にアウトソーシングすべきものと、内製化すべきものとを明確に分ける必要がある。
 全米最大の小売業であるウォルマートが、「当日・小口配送」のアウトソーシングを実験している。ウォルマートは、シェアリングエコノミーという新しい概念で急成長している「Uber(ウーバー)」と昨年提携し、生鮮食品の当日配達サービスの実験を、アリゾナ州フェニックスで開始している。
 温暖な気候のフェニックスは、リタイアした高齢者が多く住む地域として知られており、来たるべく高齢化時代を見すえた当日・小口配達の実験であると思われる。
 Uber(ウーバー)は、タクシーなどの配車サービスアプリで急成長しているIT企業である。個人のドライバーが、あいた時間を使って、言葉は悪いが「白タク」を行うサービスである。
 クレジットカード決済なのでチップの手間がいらず、最初に料金が決まっているので遠回りされる心配もない。GPSを使った地図情報に表示される近くにいるドライバーにスマホで連絡し、乗車する。
 Uberがいいのは、ドライバーも客も互いに評価される点だ。評価の低いドライバーは依頼が減り、逆に評価の低い客は乗車拒否されることもある。
 昨年11月に訪問したニューヨークのマンハッタンでは、Uberが一挙に普及し、イエローキャブの運転手の仕事を奪っている。運転手にUberの話題を出すと、露骨に嫌な顔をされる。
 日本では、タクシーの業界団体の反対で、白タクではなくて、タクシーの配車サービスのアプリにとどまっている。気持ちは分かるが、既得権益を守ることが良いのかどうかは疑問が残る。
 日本でも一部地区で実験されている「AirBnB(エアビーアンドビー 通称・民泊)」というアプリも、データベースに基づいて個人の部屋をシェアするシェアリングエコノミーという概念であり、Uberと同様のビジネスモデルである。
 シェアリングエコノミーとは、個人の空いた時間や部屋を有効活用するインターネットサービスの総称である。部屋の貸主と借主の両方を互いに評価するという仕組みもUberと同じである。
 ウォルマートは、Uberと提携し、対象地域の消費者が「Walmart Grocery」のサイトで生鮮食品を注文すると、ウォルマートの店員が注文内容に従って店内の商品をピックアップし、Uberを通じて車を手配する。Uberに登録されている個人ドライバーが、ウォルマートで商品を受け取り、注文者の家まで配達する。ドライバーの配達料金7~10ドルはウォルマートへの支払いに含まれている。

コアコンピタンスは
内製化すべきだ

 ウォルマートは、Uberのようなシェアリングエコノミーの企業と提携することで、…

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