消費の中心が「家族世帯」から 「単独世帯」に変わる!

世帯の3分の1を
単独世帯が占める

zuhyo01_201708 平成25年(2013年)の国民生活基礎調査(図表1)によると、日本の世帯構造別の構成比は「単身世帯」の割合が増加し、家族世帯(夫婦と未婚の
子のみの世帯)の割合が減少していることが分かる。
 その傾向は今後も進む。推計値では、8年後の2025年には単身世帯が35%、家族世帯(夫婦と未婚の子のみの世帯)は20%に減少すると予測されている。
 つまり、かつての消費のマジョリティ(大多数)であった「ファミリー(家族世帯)」が消費の中心ではなくなることを意味している。高度経済成長期に急成長した総合スーパー(GMS)などの過去の業態のターゲットは、夫婦と子供が暮らす「ファミリー世帯」であった。しかし、これからは結婚しない独身世帯、一人暮らしの高齢者のような「単独世帯」が、消費のマジョリティになる。
 小売業は「変化対応業」である。最大の変化は、消費者の購買行動の変化である。そういう意味では、消費のマジョリティが、家族世帯から単独世帯に変わるということは、劇的な変化であるといっていい。「単独世帯MD」を研究することが、これからの小売業にとっては不可欠の戦略になる。
 例えば最近のコンビニは、スーパーマーケット(SM)の「夕食需要」を積極的に奪おうとしている。
 従来の消費の中核であったファミリー世帯(夫婦と子供、場合によっては祖父母が共に暮らす世帯)の夕食は、専業主婦の母親がSMで夕食の材料を購入し、自宅で調理し、家族全員で夕食を共にしていた。古き良き昭和の夕食の光景である。
zuhyo02_201708 しかし、これからの消費の中心になる「単独世帯」は、SMで一から夕食の材料を買って調理するという市場は減少し、中食市場(調理済み食品を購入し自宅で食べること)が拡大していく。コンビニは、単独世帯の「中食市場」に対応したMDを強化することで、SMの夕食市場を奪おうとしているわけだ。
 コンビニ各社は、温めるだけで食べられる「デリ」(写真1)の定番商品を積極的に商品開発している。実際に試食してみると、驚くほど美味しく、「主食のおかず」「もう1品のおかず」「部屋飲み用のおつまみ」といった単独世帯のさまざまな夕食ニーズに対応している。「単独世帯MD」でもっとも先を行っているのはコンビニである。

単独世帯の増加で
消費のパーソナル化が進む

 ある統計調査によると、「夫婦と未婚の子のみの世帯」の世帯数の減少率は鈍化しているという。しかし、…
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