節約志向の消費者の 頼りになる店を目指そう

日本の全世帯の20%は
年間所得200万円以下

国民生活基礎調査によると、一世帯当りの年間所得200万円以下の低所得者世帯の比率は、1997年14.8%が2016年には20.0%と大きく増加している。日本の全世帯5,036万(平成27年)の20%の1,007世帯が、年間所得200万円以下の低所得世帯であることが分かる。つまり、日本の5世帯に一世帯は年収200万円以下である。
 年金生活者の高齢者人口が増えることで、一人当り年間所得が低下しているとみられる。一世帯当り年間所得300万円未満の比率は33.3%となり、日本の世帯の3分の1は、年間所得300万円以下である(図表1)。
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 「ボトム・オブ・ザ・ピラミッド」という言葉がある。最新の消費トレンド分析は、ピラミッドの頂点にいる富裕層の購買行動を取り上げることが多い。しかし、大衆の暮らしに貢献するチェーンストアは、ピラミッドの底辺である低所得者層をターゲットにすべきだという考え方である。理由は、ピラミッドの底辺の人口の方が多いからである。
 大衆の暮らしに貢献するチェーンストアは、ロカボ、スーパーフード、オーガニック、美白などの最新トレンドにも敏感に対応しながらも、「節約したい」という切実な低価格ニーズにも真正面から取り組まなければならない。
 「安さから逃げたチェーンストア」は衰退の道をたどるというのは、流通業の栄枯盛衰の歴史が証明している。

全年代で節約志向が
高まっている

zuhyo02_201709 図表2は、過去3年間の「可処分所得」の推移である。50~59歳以外は可処分所得が減少していることが分かる。図表3は、過去3年間の「平均消費性向」(可処分所得に占める消費支出の割合)の推移である。こちらはすべての年代で平均消費性向が低下しており、先行き不安から消費支出を減らす「節約志向」が強いことが分かる。
 とくに60歳以上の世代の消費性向が大きく減少しており、孫に惜しみなく金を使う「ジジババ消費」も影響を受けているとみられる。
 これからの消費者は、…
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