売上至上主義よりも キャッシュフロー主義

営業利益100億超えの
DgSが9社も登場

 今月号の巻頭特集は、毎年恒例の「ドラッグストア(DgS)白書」である。上場しているDgS企業14社の財務内容を詳細に分析した。詳細は特集を参照してもらいたいが、収益性(儲け)の目安であるROA(総資産対経常利益率)が10%を超えているDgSが14社中9社と、他の業態と比較するとDgSは、極めて収益性の高い勝ち組の業態であることが分かる。
 また、一流企業の目安である営業利益100億円超えのDgS企業も9社、本業での儲けを表す営業利益率5%超えの企業も6社も存在している。
 一方、同じDgSという業態名を名乗りながらも、損益計算書の構造は大きく異なっていることもわかる。例えば、売上総利益率(粗利益率)は、もっとも高いマツモトキヨシが29.6%に対して、もっとも低いコスモス薬品の粗利益率は19.9%と、約10%の差がある。さらに、販管費率(経費率)のもっとも低いコスモス薬品が15.5%に対して、もっとも高いウエルシアHDの販管費率は25.6%と、こちらも約10%の開きがある。
 粗利益率と販管費率の設計は、業態の経営構造を決定する。そういう意味では、コスモス薬品の損益計算書の構造は、他のDgSと同じ業態と分類できないほどの違いである。


儲けとは、利益率と
回転率の掛算である

 財務分析の基本は、「損益計算書(P/L)」と「貸借対照表(B/L)」を分析することである。粗利益率-販管費率=営業利益率という計算式は、損益計算書に属する内容である。しかし、企業の収益性(儲け)を分析するのに損益計算書だけを見ていては片手落ちである。
 例えば粗利益率は高ければ高いほど良い数値ではなくて、その業態として計画された数値を維持することが重要である。損益計算書を改善するために無理に粗利益率を高めると、値入率の高い不良在庫が増えるリスクが高まることを注意しなければならない。
 例えば、値入率の高いプライベートブランド(PB)を粗製乱造すると…
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