あの手この手の売上増よりも 「店頭ロス」を減らすことが重要

需要をつくるよりも
需要に合わせる時代に

 人口減少、EC企業との競争によって今後、リアル小売業の売上が大きく増えることはない。こういう時代においては、過激な割引セールや、ポイント10倍などの販促のあの手この手で、前年比の売上を無理やり増やすよりも、「店頭ロス」を減らすことの方が、売上と利益を増やす優先対策である。
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 店頭で発生しているロスを整理すると、図表1の6項目になる。店頭ロスの第1は、「欠品による機会損失」である。売上減少時代において、もっとも優先順位の高い売上対策は、店頭欠品の撲滅である。しかも、欠品は「ゼロ欠品」だけが欠品ではない。
棚札も商品も消失した「VOID(完全欠品)」や、「品薄」によって購入をためらう「心理的欠品」も欠品である。商品を売るためには、心理的に購入したくなる「陳列量の爆発点」を維持する必要がある。
 しかも、視力の悪い高齢者が増加する今後は、陳列量の爆発点はますます重要になる。ある小売業の調査では、高齢者がよく購入する商品の売価はそのままで、陳列量だけ3倍に増やしたところ、その商品の売上は大きく増加したそうだ。
 店頭ロスの第2は、日配品や総菜などの「廃棄・値下げロス」を減らすことである。これからの時代は、あの手この手の販促で需要を無理やりつくるよりも、需要に合わせていく、つまり需要予測の精度を高めていくことの方が重要である。zuhyo02_201805
 図表2は、おにぎりの廃棄ロスが年間で1,000億円もあった「ファミリーマート」が、AI(人口知能)を活用した自動発注に切り替えたところ、30%もあった発注誤差が、3週間後には発注誤差が9.68%に減少したという成功事例である。
 IT技術を活用して需要予測の精度を高めて、欠品による機会損失を減らし、在庫過多による廃棄・値下げロスも減らし、「適正在庫化」を進めることが、成熟市場における最大の売上・利益対策であるといっていいだろう。

完全作業力の向上で
失われた売上を取り戻そう

 店頭ロスの第3は、…(続きは本誌をご覧ください