ハイブリッド戦略で 「低価格」と「接客」を両立しよう

低価格志向の
消費者が増える

zuhyo01_201807 少し古い資料ではあるが、定年退職者、年金生活者などの高齢者が増加すると、日本の消費者の「可処分所得」は減少していく。また、平均消費性向(可処分所得-消費支出)も、右肩下がりに低下している。とくに、60歳以上の高齢者の平均消費性向が大きく減少していることがわかる(図表1)。平均寿命が延びており、年金所得だけの将来に不安を感じて、消費よりも貯蓄に回す高齢者の消費性向が見て取れる。
 また、東京に住んでいると、最近の消費者は、高くても良いものを買う。安いだけの商品は売れない、という誤った消費者像に陥ることがある。東京という特殊な市場の消費傾向がすべてと思わない方がいい。

 もちろん最近の消費者は、SNSの情報によって、商品の価値を検索・比較し、良いものと悪いものをよく知っている。しかし、可処分所得の枠は限られているので、最近の正しい消費者像は、「必需品に関しては価格に敏感でなるべく安い商品を購入する反面、自分のこだわりの消費に関しては高単価商品の購入もためらわない」であると思う。
 月刊MD5月号の「SM(スーパーマーケット)の逆襲」という特集の中で、同一エリアで競合しているSMのオーケーストア、ヤオコー、ライフと、DgS(ドラッグストア)の食品と日用品の売価調査を行ったが、調査品目の多くがDgSよりもSMの方が安いことに衝撃を受けた。
 R-1ヨーグルトドリンクタイプはオーケーストアが117円の最安値、DgSの最高値は126円だった。高付加価値型のSMを展開するヤオコーも、「もやし」を最安値の19円で値付けしており、完全にDgSの売価を意識している。非食品も、ポンプ式ハンドソープの最安値は、ヤオコーのPBの198円だった。

業態間の価格競争は
今後も激化していく

 かつてのように、SMの加工食品と日用品の売価は高いので、安売りで集客するというDgSの成功体験は通用しにくくなっている。価格に敏感な消費者が増えることによって、「必需品」の業態間の価格競争はさらに激化していく。
 すべての商品を安く売る必要はないが、…(続きは本誌をご覧ください