最新テクノロジーによって 小売業の「欠品対策」が変わる

欠品対策は
最大の売上対策

 「小売業の売上を上げる方法は何ですか?」と質問されると、「最大の売上対策は欠品を減らすことですよ」と答えることにしている。古今東西を問わず、小売業にとってもっとも優先順位の高い売上対策は、店頭の欠品を減らすことである。
 しかも、人口減少、狭小商圏時代に突入し、過激な販促で広域から集客する商売のやり方は通用しなくなる。狭小商圏に住む限られた固定客の繰り返し来店によって商売が成り立つ時代は、欠品を減らす「機会損失対策」がますます重要になる。
 「販売促進」による売上増よりも、「機会損失対策」による売上増の方が優先される。
 「欠品」には3種類ある。第1の欠品は「ゼロ欠品」であり、陳列棚にあるべき商品が存在しない状態のことである。一般的に店頭欠品とは、ゼロ欠品のことをいう。
 第2の欠品は、「品薄状態」であり、「心理的欠品」ともいわれる。消費者は、一定の陳列量を下回ると、心理的に購入をためらう傾向がある。陳列棚にフェース1奥行き1で残った品薄状態も、心理的に購入されなくなるので、欠品と定義される。
 逆に、ある一定の陳列量を超えると、急に売れ始める「陳列量の爆発点」も存在する。心理的な欠品(機会損失)を防ぐためにも、爆発点を超える陳列量を維持することが重要である。
 第3の欠品は、「完全欠品(VOID)」である。陳列棚に商品も棚札も存在しなくて、その商品のフェースが消失した状態である。
 たとえば、春の棚替え直後にゼロ欠品し、なんらかの理由で棚札も消失した商品は、秋の棚替えまで売場から消えたままである。完全欠品する商品は売れ筋なので、非常に大きな機会損失になる。

自宅にいながら在庫数・
欠品状況を確認できる

 星の数ほど店が存在する中で、わざわざ時間を使って来店したのに、陳列棚に購入予定の商品がなかったという消費者の怒りは大きい。日本人の多くは店に文句は言わず、黙って二度と来なくなる。欠品による店への信頼の失墜は大きい。
 その解決策として、……(続きは本誌をご覧ください