「洗濯」「掃除」「炊事」
の三大家事活動は核売場
DgS(ドラッグストア)のような小商圏業態にとって、エブリデーエブリボディグッズ(誰もが毎日使う商品)である「必需品」を核売場にすることは不可欠である。商圏内に暮らす消費者に、必需品を購入目的に頻繁に来店してもらうことによって、小商圏でも客数を増やすことができる。
必需品の代表は、「洗濯」「掃除」「炊事」の三大家事活動である。さらに加えて、「歯磨き(オーラルケア)」「入浴」も、誰もが毎日行うものである。
とくに、オーラルケアの市場成長率は高く、最近のDgSでは、棚13本の広い売場面積でオーラルケアを展開する店舗もあるほどだ。「洗濯」「掃除」「炊事」の実行者がいまだ女性に偏っているのに対して、オーラルケアは、老若男女を問わない毎日の習慣であり、客層が広く、買い替え頻度も高い。広い客層に、繰り返し来店を促す、小商圏業態の戦略カテゴリーであるといっていい。
いずれにしても、誰もが毎日行う家事活動や習慣に関わる売場を地域一番化することは、小商圏業態にとっては非常に重要なMD戦略である。
「必需品」は、「使用頻度も購買頻度も高い消耗品」と「使用頻度は高いが購買頻度は低い耐久品」の2種類がある(図表1)。
今月号の特集で掲載した「関連商品」で考えると、洗濯洗剤、柔軟剤は消耗品的な必需品である。一方、物干し、布団たたきなどは耐久的な必需品である。角ハンガーやピンチなどは、洗濯洗剤ほど購買頻度は高くないが、耐久品とまでは言えないので、「準消耗品」といっていいだろう。
業態によって、耐久的な必需品をどの程度の品目と面積で品揃えするかが異なる。「近くて便利」を武器にするDgSのような小商圏業態は、洗濯洗剤などの消耗品の面積を思い切り広く確保し、角ハンガーなどの「洗濯用品」を絞り込んで品揃えするのが一般的である。
一方、HC(ホームセンター)などの中商圏業態は、洗濯洗剤などの消耗品も取り扱うが、角ハンガーなどの準消耗品の用途・機能を幅広く品揃えしている。たとえば、「ジーパンも干せる角ハンガー」などの高機能商品を取り扱うことで、目的来店性を高めている。
図表1で示したように、消耗品的な必需品は、よく売れるが、粗利益率はそれほど高くない。商品や売場の儲けを表す「交差比率」の考え方では、低粗利益率×高商品回転率(年・回)によって儲ける「薄利多売」の構造であることが多い。たとえば、粗利益率が20%でも、商品回転率(年・回)が10回転であれば、20%×10回転で交差比率は200になり、儲けることができる(交差比率が200を超えることが儲かっていることの目安)。
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