店頭で商品育成できないと
リアル店舗の価値はない
先日、大手ドラッグストア(DgS)の経営者とお話をする機会があった。
その際に、そのDgSの経営者が、「今後、メーカーは小売業を通さないで、直接ネット販売で売る商品を増やしていくのではないでしょうか。それが、これからのリアル店舗の最大の危機だとおもいますね」という趣旨の発言をされたことが、とても印象に残った。
確かに、リアル小売業を通さなければ商品が売れなかった時代は、完全に過去のものになった。
リアル小売業を通さなくても、オンライン(ネット)で販売すれば、メーカーは消費者に商品を届けることができる。
事実、サントリーウエルネスは、オンライン広告を大量投入し、効能効果を伝え難い健康食品をオンラインで育成し、直販している。ヤフーのトップ画面を開くたびに、サントリーのセサミンなどのレクタングル広告が目に入り、ついついクリックしてしまう。
一方、DgSの健康食品売場に行くと、ただ陳列しているだけで、商品の価値を伝えるPOPも少なく、売場の前で迷っていてもだれも声を掛けてはくれない。
価値を伝えるのが難しい商品を育成する力が、オンラインの方が優れているのであれば、リアル店舗の存在理由は果たしてあるのだろうか。
しかし、サラリーマン化したバイヤーは、商談の際に「価格」と「リベート」の話しかしない。テレビで話題になった商品を安売りし、「仕入れてやるからリベートをよこせ」という商談は得意であるが、店頭で商品を育成することは不得意である。
店頭に置いてあるだけで、売れなければ「返品」するという悪しき商習慣をやめなければ、「もう仕入れてもらわなくて結構です。インターネットで売ります」とメーカーに愛想を尽かされるかもしれない。
大規模化した小売業は
リベート主義になる
チェーンストアは、大量に店舗数を持ち、単品大量販売を実現することで、品質を上げながら低価格を目指す。つまり、「よりよいものをより安く」を実現するビジネスモデルである。
大量出店の目的は、その店ができることで、地域の生活者が「手頃な価格で豊かな生活」を送れるように貢献することである。
しかし、…(続きは本誌をご覧ください)