店数が増えれば増えるほど 店舗の「徹底力」が重要になる

10年間で5倍近く
売上を増やしたDgSも

 今月号の特集は、毎年恒例の「ドラッグストア(DgS)白書」である。マツモトキヨシホールディングス(HD)とココカラファインの経営統合計画が発表され、DgS初の1兆円企業誕生が確実視されるなど、DgS企業の大規模化、上位集中化は毎年進んでいる。
 図表1は、10年前の月刊MD2009年10月号に掲載した、DgS企業の売上ランキング上位20社である(実際には40社を掲載したが、この表では下位20社は割愛している)。
 これを見ると、売上高ランキングも10年間で大きく変化したことがわかる。10年前の売上高の第1位はマツモトキヨシHD、第2位がスギHDだった。現在は同5位、6位に順位を下げている。しかし、マツモトキヨシHDはココカラファインとの経営統合計画を進めており、業界第1位に返り咲くことが確実視されている。M&Aによって起死回生を図ったことがわかる。
 現在のウエルシアHDは、10年前は「グローウェルHD」という名称だった。グループ企業には、ウエルシア関東、高田薬局、寺島薬局、イレブン(関西)が入っており、この当時から積極的なM&Aを仕掛けていたことがわかる。10年前のグローウェルHDの売上高は約1,930億円なので、10年間で4倍も売上を増やしており、この10年間で驚異的な成長を遂げたことがわかる。大手DgSの中ではナンバーワンの成長率である。
 ツルハHDも、大量出店と積極的なM&A戦略によって、10年間で売上を3倍以上も増やしている。10年間で、これほど売上を増やした小売業態はDgS以外には存在しない。驚くべき急成長を遂げた業界であることがわかる。
 中堅企業の中で、この10年間でもっとも成長した企業は、クスリのアオキである。10年前は約490億円だった売上高が、2018年度決算では約2,500億円と、5倍以上の成長を達成している。また、薬王堂も10年前は約375億円だった売上高(図表1ではランキング外)が、2018年には約910億円と10年で3倍近くも増やしている。中部薬品も10年前の売上高約460億円が、2018年には約1,270億円と、こちらも約3倍も売上を増やしている。
 今年のDgS白書では、売上高第1位がツルハHD、僅差の第2位がウエルシアHD。この2社は8,000億円弱の売上に達し、グループで1兆円突破も視野に入っている。
 第3位がコスモス薬品。前年4位だったが、サンドラッグを抜いて単独3位に入った。上位2社がM&Aによって規模を拡大しているのに対して、コスモス薬品は自社の出店だけで成長しており、何年間も純増店舗数100店規模の高速出店を継続している。コスモス薬品は「2025年に単独で1兆円企業を目指す」と宣言している。
 今月のDgS白書の売上高ランキング上位30社の売上高合計は、約6兆9,000億円に達している。10年前の白書に掲載したDgS40社の売上高合計は約3.5兆円。10年前と比較して企業数が大幅に減少し、40社対30社の比較であるが、売上高合計が約2倍に増えており、DgSの「淘汰」と「集中」による上位寡占化が一気に進んだことがわかる。

チェーンストアは小さな改善が
大きな成果に直結する

 DgSの上位寡占化が進んだということは、…(続きは本誌をご覧ください