「来店頻度」を増やす 4つの新サービスを考える

BOPISの導入で
来店頻度を増やす

 売上=客数×客単価、客数=商圏人口×来店頻度に分解できる。アマゾンでなんでも購入できる時代において、リアル店舗が客数を増やすための重点経営課題は、1店当りの商圏人口を増やすことではなくて、「来店頻度」を増やすことである。そして、店に繰り返し来店してくれる「固定客」を増やすことで、安定的に客数を増やすことが重要である。
 「来店頻度」を増やすために、多くの小売業は「ポイント販促」や「クーポン販促」などのロイヤルティープログラムに取り組んでいる。しかし、「販促」だけが来店頻度を増やす手段ではない。アメリカのリアル小売業が取り組んでいる「来店頻度」向上のための新しいサービスを以下に整理してみよう。
 ウォルマート、ホームデポなどのアメリカの大手小売業は、この数年、店舗数を増やさないで、オムニチャネル化によって既存店の売上を増やす戦略に大きく転換している。図表1は、ウォルマートの過去5年間の店舗数の推移である。2017年ころから出店ペースが鈍化し、2019年は前年比で約350店舗も店舗数が減少しているにもかかわらず、2.9%も売上を増やしている。好業績の理由は、既存店売上伸長率が前年比で4.0%も増えていることである。
 同様にホームデポも過去5年間、店舗数は横ばいである(図表2)。2019年は、2018年と比べて3店舗減少しているが、売上高は7.2%も増えている。ウォルマート同様に既存店売上伸長率が5.2%と高いことが、店舗数が減っても売上が増えている理由である。

 来店頻度を増やす新しいサービスの第1は、BOPIS(Buy Online Pickup In Store)の導入である。BOPISとは、オンラインで注文した商品を店舗でピックアップするサービスのことである。ウォルマートは、「ピックアップタワー」のようなBOPIS対応の店舗を急速に増やしている。
 BOPISの導入で既存店の売上が増える理由の第1は、店舗で在庫していない「ロングテール商品」を販売することである。
 ホームデポは、通常の店舗では3~4万のアイテムが在庫されているが、オンラインでは100万以上のアイテムが販売されている。その膨大なアイテムが店舗ピックアップできれば、当然、リアル店舗の売上増につながる。
 BOPISの導入で既存店の売上が増える理由の第2は、「来店頻度」と「買上点数」の両方が増えることによる売上増である。オンラインで注文した顧客の60%以上は店舗受け取りを選ぶそうだ。BOPISを導入することで、既存店の来店頻度が確実に増加する。
 さらに、店舗ピックアップのために来店した顧客の70%は、なんらかの商品を「衝動購買」するという調査結果もある。とにかく来店してくれれば、買上点数も増えることになる。

アマゾンロッカーは
来店頻度を増やす

 ホームデポは、オンラインでの買物は、…(続きは本誌をご覧ください