ウイルスとの戦いの長期化で 顧客の「購買行動」が大きく変わる

ポストコロナ社会で
お客様は神様ではなくなる!?

これから1年以上もの長期化が予想される新型コロナウイルスとの戦い。コロナ戦争後の「ポストコロナ」社会はどう変わるのだろうか? 図表1に整理してみた。
 ポストコロナ社会の第1の変化は、「お客様は神様ではなくなる」ことである。「お客様は神様」「お客は常に正しい」「For the Customer」という言葉は、洋の東西を問わず小売業にとっての不変の格言だった。
  しかし、新型コロナウイルスの影響で、「お客様は決して神様ではない」という意識が一般的になると思う。この価値観の変化が、ポストコロナ社会のもっとも大きな変化ではないだろうか?
 ドラッグストア(DgS)のレジで、「なんでマスクがないんだ」と怒鳴り散らす中年男性、「すいません。すいません」と平謝りしながら泣いている女性のレジ担当者。
 また、トイレットペーパーなどの紙製品が品切れした時期に、暇な高齢者がDgSやスーパーマーケットの開店前に並び、「ここで買ったら、次は〇〇スーパーに買いに行く」と買い占めを話し合う光景を目撃した。こんなに人生経験を積み重ねてきたのに「自分さえよければいいのか」とがっかりした。
 緊急事態には人間の本性が出る。東日本大震災のときにも、高齢者がペットボトルの水を買い占めている姿を間近に見て、ペットボトルの水は「未来のある赤ちゃんや若者に回せ、先の短い老人は水道水を飲め」と悪態をついたものだった。
 しかし残念なことに今回のコロナウイルス騒動のときにも、手を消毒するウエットティッシュが品切れすると、代替品として「赤ちゃんのお尻ふき」が購入されて欠品していた。
 今回の新型コロナウイルス戦争では、モンスター・クレーマー、モンスター・カスタマーの問題が一気に表面化した。モンスター・クレーマーに悩まされ続けた小売業の現場は、「お客のいうことを100%聞くことが正義ではない」という価値観が定着していくと思う。
 また、過度なストレスに見舞われた現場スタッフを守るためにも、「お客様は神様」という古い価値観を現場に押し付けるのではなくて、具体的なクレーム対応をもう一度ルールとして明文化することが重要である。
 今月号の特別企画では、コロナ対策に店頭現場が追われた3月の店頭調査リポートを掲載したのでぜひ参照してほしい(エイジス・リサーチ・アンド・コンサルティング調査協力)。
 この現場調査でわかった最大の問題点は、…続きは本誌をご覧ください