狭小商圏時代の 売場レイアウトの原則

小さな街に
大きな店をつくる

人口減少によって、リアル小売業の1店当りの商圏人口が減少する「狭小商圏時代」に突入している。ドラッグストア(DgS)の商圏人口は、1万人を割り込み、人口減少率の高い郊外立地では、近い将来は7,000人、5,000人といった「極小商圏」に出店するDgSも増えていく。
 狭小商圏で成立させるために取り組むべきことは、買物目的を増やして、「ワンストップショッピング性」を高めることである。
図表1 そのためには、「ラインロビング」という技術が不可欠になる。ラインロビングとは、新しい商品群の品揃えに挑戦し、商品群単位で他の業態からシェアを奪う作戦のことである。
 薬局・薬店という業種店から業態化したDgSの歴史は、ラインロビングの歴史であったといっても過言ではない。今月号で紹介している「ウエルシア平塚店」は、従来のプロトタイプの300坪型の約2倍の600坪型の売場面積に挑戦している。大型化のために、精肉、青果、総菜などの新しいカテゴリーをラインロビングしている。
 ラインロビングによって狭小商圏で成立できるようになるというロジックは図表1に図解した。

 かつては売場面積を大型化することは、商圏を広げることが目的だった。しかし、狭小商圏時代の大型化は、少ない商圏人口でも成立させることが目的になる。
 ラインロビングとは、商圏拡大がメインの目的ではないことが、かつての大型化との大きな違いである。
 小売業の格言で、「小さな街に大きな店をつくる」という言葉がある。
 大型化することで大商圏から集客する店は、周辺に近くて便利な店ができると、薄皮を剥がされるようにシェアを奪われていく。「小商圏高シェアの大きな店」が最後は強いという意味である。

固定客と新規客の
「来店頻度」を増やす

 狭小商圏で客数を増やすためには、固定客と新規客の「来店頻度」を増やすことが重要である。ラインロビングによって新しい商品群がプラスされることで買物目的が増えて、お客の来店頻度が高まり、新規客も増える。
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