withコロナで、「プロモ主義」から 「定番主義」に大きく転換する

Withコロナ時代は
買物時間が短くなる

 Withコロナ時代は、消費者の購買行動が大きく変化していくだろう。第1の変化は、EDLP(エブリデイロープライス。毎日低価格)への転換が本格的に進むだろうということだ。
 ポイント還元セールやチラシ販促などの「短期特価販売」による集客は、開店前に行列をつくり、特定の日に来店客が集中するために、withコロナ時代の消費者は敬遠するようになる。曜日による客数の波動をつくらないで、毎日安定して低価格で商品を供給することが、リアル小売業に求められる機能になる。
 第2の変化は、狭い床面積の店舗に商品と人を詰め込み、効率を追求するという「日本型繁盛店」の売り方が敬遠されるようになることだ。ソーシャルディスタンスを保つためには、ある程度余裕を持った通路幅が必要になる。
 第3の変化は、買物客の「店での滞在時間」が短くなることである。凸版印刷によるコロナ前とコロナ後のスーパーマーケットの滞在時間の調査結果によれば、買物客の滞在時間はコロナ前と比較して明らかに短くなっている。
 たとえば、スーパーマーケットに「30分以上滞在する買物客」は、コロナ前は来店客の33.8%を占めていたが、コロナ後の2020年12月では23.6%と大きく減少している。一方で、「10分以内の滞在客」は、コロナ前の5.2%から、コロナ後には8.8%と増加している。
 店に長居したくない買物客にとって、「商品の発見のしやすさ」が重視されるようになり、1商品あたりの陳列量が増える。その結果、店舗で取り扱うアイテム数が減少し、メーカー淘汰が進むことになる。

プロモーションよりも
「定番」が重要になる

 withコロナ時代は、プロモーション(非定番)よりも、ステープル(定番)売場の重要性が高まる。短期特価特売で広域から浮動客をかき集めるような販促が時代遅れになり、EDLP化した定番売場の買いやすさ、選びやすさを追求することが重要になる。
 図表1は、定番と非定番の定義を改めて整理したものである。定番売場とは、13週間以上の期間にわたり商品構成(棚割の状態)を維持する売場であり、定番商品は13週間以上の期間にわたって継続集荷し、品切れさせないで売り続ける商品のことである。
 一般的に、定番と非定番の売上構成比は8対2もしくは7対3と言われていた。コロナ以前から、プロモ売場よりも定番売場での購入率が高かったわけだ。
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