25年目に突入した 月刊マーチャンダイジング

紙の業界紙・誌の
未来は明るくない

 先月号(2023年1月号)は通巻300号でした。300号÷12ヵ月=25年なので、月刊MDは2023年に、創刊から25年目の年に突入したわけです。
 個人で始めた雑誌なのに、発行日が1日も遅れることなく四半世紀も続いたことは、我ながら奇跡的な出来事だったと思います。とはいうものの「紙の業界紙・専門誌」の未来は、あまり明るくはありません。
 月刊MDが創刊した1997年は、ドラッグストアという新しい業態の勃興期であり、また、日本チェーンドラッグストア協会という業界団体が設立目前だった時期です。月刊MDの創刊とほぼ同じ時期に、ドラッグストア向けの専門誌が2誌創刊されましたが、2誌ともすでに廃刊になっています。
 私が若い頃に在籍した月刊需要創造(月刊ホームセンター)という創刊540号を超えた雑誌も、昨年、知らないうちに発行が停止されました。
 さらに、月刊MDを創刊する前に働いていた創業70年を超える老舗出版社「商業界」も、2年ほど前に倒産しました(その後、別の会社が版権を買い取り、私が在籍していた月刊販売革新は発行を継続しています)。
 次の10年間、月刊MDが紙の月刊誌だけの価値で、生き残ることができるかどうかは私にもわかりません。
 とはいえ月刊MDがなぜ四半世紀も事業を継続できたのかを、自分なりに整理してみます。

ローコスト経営が
事業継続の基本である

 第1の理由はローコスト経営だったからです。月刊MDは、企業成長・売上拡大を第1の目的にしていないので、基本的にはローコスト経営です。
 36歳で雑誌を創刊した時に決めたルールは、入ってくるキャッシュの範囲でしか経費を使わないということです。
 もっとも売上が少なかった時期の月刊MDのページ数は56ページでした。もちろんすべて白黒です。見栄を張らないで、「入金>経費」というルールを守ることは事業を継続するための、もっとも重要なポイントだと今でも思っています。
 売上を増やすよりも、経費をコントロールした方が、事業経営への経済的なインパクトは大きいのです。「そんな経営はつまらない」と思う読者もいるかもしれませんが、事業の栄枯盛衰の歴史を見ると、売上が良い時期は短く、売上が低迷する時期は必ず来ます。そのときに生き残れるかどうかの鍵は、「損益分岐点売上高」の低さと、「内部留保」なのです。
 次の仕事がうまくいけばなんとかなるという「取らぬ狸の皮算用」で楽観的に考える明るい人は、経営者には向いていないように思います。どちらかというとネガティブで、石橋をたたき割るほど慎重な人が、経営者として成功しているケースが多いようです。
 また、きちんとした組織をつくらなければ経営ができない時代ではありません。ITやアウトソーシングを活用すれば、少ない人員でも大きな成果を上げることができます。25年前とは経営環境も大きく変わっています。大きいことは、経営としての強さよりも、リスクの方が大きいと考えています。

ニュースではなくて
現場の調査報道に徹した

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