利潤分配率20%確保が
経費管理の出発点
電気代の高騰により、何もしなければ利益が大きく下がる状況が続いている。そのためにも、粗利益高の改善と、「ローコストオペレーション」による経費削減の2つは喫緊の経営課題である。
徹底したローコスト経営に取り組んでいるゲンキーの経営効率の基準を14ページの図表2で示しているので参照してほしい。一般的に売場面積1坪当たりの粗利益高(年)の目標値は50万円(坪・年)といわれているが、ゲンキーの坪粗利高は23.8万円(坪・年)と半分程度の効率である。
しかし、坪経費高(坪・年)が18.8万円と極めて低いので、坪営業利益高(坪・年)は5万円である。坪営業利益高の目安は10万円程度といわれているので、坪粗利益高と同様に目安の半分程度の数値である。
一方で、利潤分配率(粗利益に占める営業利益の割合)は20.8%と基準値を超えている。ちなみに利潤分配率の目標は20%である。つまり、粗利益高の中から最初に、目標とする営業利益高20%を確保し、残り80%で人件費、販促費などの経費を配分する方法が、コストコントロールの基本である。
坪粗利益高、坪営業利益高もそこまで高い数値ではないが、徹底したローコストオペレーションによって、適正な利潤分配率を実現しており、計算しつくされた経営であることがよくわかる。
適正在庫の維持で
前出し作業をなくす
ローコストオペレーションを実現するための6ポイントを図表1に掲載した。第1は、不必要な「作業をなくす」ことである。今月号で紹介したゲンキーのようにローコストを追求する小売業では、「前出し作業」をなくしている企業もある。たとえば、自動的に前出しできる棚の採用によっても、前出し作業をやめることができる。
商品の前出し作業は、商品の顔を目立たせることで、商品を見逃す確率が減り、顧客の購買意欲も高まるので、一般的には良い作業の代表といわれている。
とはいえ、「やることがないので前出し作業をパートさんに指示する」という不必要な前出し作業が横行していることもまた事実である。
売場の在庫と前出し作業に関する考え方は、営業時間中に品切れしないだけの在庫を確保し、営業時間中に前出ししなくても欠品させないことが基本である。ゲンキーのように、あえて前出し作業をなくすことも、ローコストオペレーションのための割り切りであるといっていいだろう。
また、短期特価特売を………続きは本誌をご覧ください