創業経営者は店舗開発を
自分の足と目で決断した
創業経営者は、店舗開発に関しては自分の足と目で物件を確認して投資を決断した。リアル小売業が成長していくための最大の投資案件は「店舗開発」である。
売場づくりは修正できるが、店舗開発の失敗は取り返しがつかない。だから創業経営者は、物件候補の立地を自分で確かめて、「絶対に成功できる」と確信した後に出店を決断していた。
先日取材した某ドラッグストアの経営者は、今でも年150~200店の候補物件を自分で必ず見ることにしているとう。経営者のもっとも重要な決断は、店舗開発だと理解しているからだ。
ところが、店舗数が増えていくと、すべての開発物件を経営者が見られなくなる。もちろん店舗開発部のノウハウも蓄積されていくので、すべての物件を経営者が見る必要はないのかもしれない。しかし、経営者が物件を見なくなったが故の店舗開発の失敗の事例はよくある。
数年前に目撃した話。某ドラッグストアの新店をたまたま見かけたところ、踏切のすぐそばの立地だった。踏切の近くは、出店立地としては最悪である。道が混雑するし、右折では入りにくい。
その企業の経営者と会う機会があったので、「踏切のすぐ近くに出店してはダメなのでは?」と話をすると、「物件の立地を見なくて書類にハンコをついた」と正直に反省の言葉を述べられた。
その後、その企業は不採算店をかなり閉店したが、店舗開発の失敗が大きな原因であったことは間違いない。
創業経営者は欠品と
不良在庫を嫌がる
ドラッグストアは、二世、三世、サラリーマン経営者の時代に突入している。皆さんとても優秀な方が多いが、創業経営者との大きな違いは「金に困った経験がない」ということである。金の苦労をした創業経営者は、小売業の最大の投資案件である開発物件を自分の目で確かめなければ気が済まなかったのである。
創業経営者は、「欠品」と「不良在庫」の2つをとても嫌がる。欠品は商人として許せないのだろう。
一方、……続きは本誌をご覧ください