調剤含む「ヘルスケア」のDX化が 急速に進行しようとしている

アマゾンはヘルスケアに
最も投資している

 今月号は毎年恒例の「ドラッグストア白書」である。20ページに示した「調剤薬局チェーンとドラッグストアの調剤部門の売上高ランキング」を参照すると、「ドラッグストア(以下DgS)の調剤」の調剤市場における存在感が年々高まっていることがわかる。
 一方、調剤を含むヘルスケア分野におけるDX化が急速に進もうとしている。ヘルスケアのDX化が進むと、オンライン診療→オンライン調剤→調剤の宅配サービスが可能となり、病院にも調剤薬局に行かなくても処方薬を自宅で受け取ることができる。
 とくに、糖尿病や高血圧などの慢性疾患の処方薬を定期服用している患者にとっては、とても便利なヘルスケアサービスといえる。
 北米でヘルスケアのDX化にもっとも投資している企業がアマゾンである。アマゾンは2018年に、オンライン調剤薬局の「ピルパック」を7億3,500万ドル(1ドル140円で約1,030億円)で買収して、オンライン調剤への進出を果たした。
 この買収は、ウォルマートとの争奪戦に勝利したものと報道されている。ピルパックは、複数の処方薬を一包化して、薬剤名と服用時間を薬袋に印字して宅配するサービスを提供している。
 2020年11月にはオンライン調剤薬局「アマゾンファーマシー」を立ち上げた。前述のピルパックとの2枚看板でオンライン調剤薬局の事業を強化している。
 さらに、2022年には一次医療(プライマリーケア)の大手「ワンメディカル」を39億ドル(約5,400億円)で買収。ワンメディカルは、アメリカ25都市で188のクリニックを持つ会員制の一次医療専門の医療機関。
 会員数は76万人超、年会費199ドル(診療費別途)、対面診療の他に24時間365日オンラインで診療を受けられる。また、8,000社以上の法人会員もいる。オンライン調剤薬局の運営と、ワンメディカル買収にあたってのアマゾンヘルスケア担当副社長のコメントは以下の通りである。
 「予約から診察までの時間を短縮する。診察室(医療機関)への移動を減らすかなくす。診察までの院内待ち時間の省略。医療提供者との頻繁な接触をオンラインで実現。調剤薬局への移動をなくす」
 そして、プライム会員向けの「アマゾンクリニック」のサービスを2022年11月に開始し、アマゾンが「オンラインクリニック」へ本格参入した。

サブスク(定額)対応の
ヘルスケアサービス

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