2030年の卸売・小売業界は
約60万人の人手不足に
日本の小売業界では、深刻な人手不足が顕在化している。パーソル総合研究所の「労働市場の未来推計2030」によると、卸売・小売業界では2030年に約60万人の人材不足が予測されている。
一方、労働生産性本部の調査によると、アメリカの労働生産性を100とすると、日本の卸売業・小売業の生産性は30.3%と、アメリカの3分の1以下と極めて労働生産性が低いことがわかる。人手不足時代に対応するためには、ローコストオペレーションの仕組みを構築し、人の生産性を飛躍的に高めることが緊急対策である。
大切なことは、人の頭数を減らして、気合と根性で乗り切ることがローコスト化ではなということだ。DX化、ロボット化、仕組みづくりによって、ムリムダムラを省く、科学的なローコストオペレーションに取り組むことが重要である。
仕組み化で労働生産性を高めることで、給与も上げて、ES(従業員満足)も高めて、人手不足時代に対応することが求められる。
今回は、ローコストオペレーションの5つのポイントについて整理しよう。
ローコストOP(1)
作業そのものををなくす
ローコストオペレーションのポイントの第1は、作業そのものをなくすことである。たとえば、自動発注(補充)システムを導入することで、店内での発注作業そのものをなくすことである。
店内作業の30~40%を占めるといわれているレジ作業をなくす試みも様々な企業で導入されている。写真1のトライアルGOでは、無人のセルフレジのみのオペレーションに切り替えたことで、月間の人時数が大幅に削減された。顔認証決済も実験中であり、デジタル化で労働生産性を高める事例である。
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