「標準化」を徹底することが 「顧客満足」「生産性」の高さに直結する

標準化とは
バラツキを減らすこと

 20代の頃、流通業向けの編集記者だった私は、毎月ペガサスクラブの故・渥美俊一先生の事務所もしくは自宅をたずねて、口述筆記を担当をしていた時期があった。
 毎号の特集テーマに合わせて、「チェーンストア理論」に基づいた解説を渥美先生にしゃべってもらい、それを録音して記事におこすという仕事である。
 当時はさまざまな経営コンサルタントがいたが、渥美先生の原稿が一番面白いと思っていた。理由は、さまざまな事例を収集し、それらを帰納法的に体系化した理論が、具体的でわかりやすかったからだ。
 「流通文学」のような情緒的な原稿を書く経営コンサルタントが大勢いた中で、渥美先生の原稿は具体的かつ体系的だった。
 図表1の「チェーストアの3S主義」というチェーンストア理論の根幹の話を聞いていた時に、私は思わず渥美先生に「標準化って何のことですか?」と質問した。隣で編集長がビクッとして、「なんてことを聞くんだ」という顔をしていたが、渥美先生は、「標準化とはバラツキを減らすことだよ」と教えてくれた。

 最初はチンプンカンプンだったが、経験を積めば積むほど、標準化とはバラツキを減らすことであり、チェーンストア理論の根幹であることが徐々にわかってきた。
 毎年、月刊MD12月号で掲載する「顧客満足度調査」の中で、あえて1企業10~20店の複数店舗を調査する最大の目的は、その企業の標準化のレベルを測るためである。
 つまり、人によるバラツキ、店によるバラツキが少ない企業ほど、顧客満足度が高いと評価できると考えているからだ。
 一方、その店の看板を信頼して来店したのに、店によってレジ接客のバラツキが多い、担当する人が変わると接客力が大きく下がる企業は、バラツキの多さによって顧客の信頼を損なっているといえる。

新店と改装で
店舗の標準化を進める

 人によるバラツキを減らすための最大の教育は………続きは本誌をご覧ください