「物流」「スーパーセンター」「EDLP」「DX」etc. ウォルマートの挑戦・変化対応の歴史を振り返る

オムニチャネルリテーラー
に進化するウォルマート

 今月号の特集は、「アメリカ小売業」の最新分析である。アメリカの小売業を定点観測する理由は、アメリカで現在起こっている変化は、日本でも5~10年後に起こる変化だからである。
 アメリカ流通視察とは、日本の未来を知るための視察でもある。もちろんアメリカと日本は、生活も文化も違うので、5~10年後にアメリカとまったく同じ変化が起こるわけではない。
 筆者は、アメリカと日本の流通業は、「パラレルワールド(平行世界)」のようなものだと考えている。まったく同じではないが、必ず似たような変化が5~10年後に日本でも起きるといっていい。
 とくに今回のアメリカ特集で興味深い変化は、世界最大の小売企業である「ウォルマート」が、4年ぶりにスーパーセンターの新業態の出店を始めたことである。
 ウォルマートの新業態は、「オムニチャネルリテーラー」というまったく新しいイノベーションに果敢に挑戦している(本文参照)。
 振り返ると、ウォルマートの成長の歴史は、常に変化対応と挑戦の歴史だといっても過言ではない。日本円で年商100兆円という世界最大の企業であるウォルマートは、今も新しい変化対応に果敢に挑戦している。ウォルマートの歴史をたどってみよう。

初期のウォルマートは
ローコストと物流を重視

 ウォルマートの創業者のサム・ウォルトンは、1950年代に働いていた「JCペニー」(大衆的なデパート)を退職して、「ベンフランクリン」というバラエティストア(VS)のFCに加盟して小売業経
営の第一歩を踏み出した。
 当時のVSという業態は、別名「ワンセント・ダイムストア」と呼ばれており、1セントから10セント(ダイム)くらいの低価格商品に限定した「よろず屋」のような店だった。今でいうダイソーのよ
うな店であり、基本的には「非食品業態」であった。
 その後、1960年代の半ばからVSの価格帯を広げて単価の高い非食品(住居用品、家電など)も取り扱うようになり、衣料もラインロビングしたディスカウントストア(DS)という非食品のワンストッピングショッピング業態の多店舗化を開始した(食品は加工食品程度)。
 当時のDSの最大企業は「Kマート」だった。Kマートが人口の比較的多い郊外立地からスタートした企業なのに対して、ウォルマートは広大なアメリカの「ルーラル立地(田舎立地)」からスタートした企業であった。人口の少ない田舎立地なので、ローコスト経営がウォルマートの最大の特徴であり、Kマートなどの競合と優位に立つための経営戦略の原点だった。
 同時に………続きは本誌をご覧ください