日野ブログ

「中分類」はMDの「戦略単位」である

2013/05/15 22:00

プロダクツ(製品)とマーチャンダイズ(商品)

本誌(月刊MD)では、「製品」 (Products)と「商品」(Merchandise)という言葉を明確に使い分けている。新製品という言葉は使わず、新商品と表現することにしている。
本誌の誌名であるマーチャンダイジング(MD)とは、メーカーがつくった製品の売り方を開発し、魂を入れて、「製品」を「商品」に変える活動である。
売り方の開発には、どう仕入れるかという調達方法、どう運ぶかという物流の革新のようなサプライチェーン改革も含まれる。「この製品をいくらの売価に値付けすれば、顧客満足と経済合理性を両立できるか」を決定するプライシング(値付け)技術も、重要なMD活動だ。
また、品目毎の陳列量と、陳列位置を決定する「商品構成」の設計図の作成。つくる立場、売る立場から、「使う立場、買う立場」に商品の並べ方を再編集する「商品分類」の設計図の作成。値入率の高い部門(商品)と低い部門(商品)を組み合わせて、店全体で適正利益を確保する「マージンミックス(相乗積管理)」の設計図を作成することも、MD技術の根幹である。
さらに、POPを使った店頭での価値訴求や、陳列演出も重要な「売り方」の開発である。私は、「製品」を「商品」に変えるMD活動は、製造業が製品をつくることと同じくらい重要な技術であると思う。
「いいものをつくれば必ず売れるはずだ」という技術を過信しすぎているメーカーも多いが、いくらいいものをつくっても、消費者にその商品の良さや使い方が伝わらなければ、商品は売れない。
モノ不足時代と違って、成熟消費市場に突入した日本では、いいものをつくること以上に、商品の「売り方」を開発するMDの重要性が高まっている。
日本はモノづくりの国ではあるが、モノをつくることと匹敵するくらい、売り方を開発することは重要な社会貢献である。小売・流通業で働く人達は、自分達のMD活動に、もっと「誇りと自信」を持つべきである。(…続きは本誌をご覧ください

月刊マーチャンダイジング 2013.6月号


「売り切る力」を高めて 高収益店舗をつくる!

2013/05/07 12:03

営業利益率8.2%「セリア」の高収益性

100円ショップ「セリア」の業績がよい(図表1参照)。直営チェーン方式で1,000店舗を突破し、ROA(総資産対経常利益率) 19.3%、営業利益率8.2%と驚異的な高収益企業である。

ROAは企業の収益力(儲け)のモノサシであり、ROAが10%を超えている企業は儲かっていると評価されるが、すべての商品の売価が105円でありながら、セリアはとても儲かっていることが分かる(ちなみにドラッグストアでもっともROAが高い企業はコスモス薬品で15.8%、2012年2月期)。
前月4月号で「日雑・家庭用品」の提案力という特集を掲載した。その中で、セリアの日雑・家庭用品の商品構成・商品分類を調査した。

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ネット対策は、SB、PB強化とリテールテインメントである

2013/05/07 11:55

他社とは比較できないオリジナル商品を育てよう

2月前半にニューヨークとラスベガスへ視察旅行にってきた。アメリカの流通業界を取り巻く最大の変化は、アマゾンに代表される「ネット通販」の急成長である。「ショールーミング」という言葉がブームになっており、ネット通販とどう差別化するかが、「リアル店舗」の最大の経営テーマになっている。
世界最大の小売企業である「ウォルマート社」は昨年、アマゾンに対抗してNB(ナショナルブランド)の値下げを断行した。また、アメリカの世帯の25%は銀行口座を持っておらず、クレジットカードやデビットカードを持てない顧客に対して、オンラインで購入した商品代金を48時間以内に店舗で決済するサービスも開始した。
さらに、顧客の利便性を高めるために、ウェブで注文した商品を利用客の希望する店舗でピックアップできる「サイト・ツー・ストア・プログラム」を強化している。すべてネット通販に対する対抗手段である。
今回のアメリカ視察で、「繁盛しているリアル店舗」の特徴は、以下の2点である。この2点が、ネット通販と差別化するためのリアル店舗の重点経営対策である。

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