日野ブログ

令和時代を切り開く 新しい乗り物=新業態に挑戦しよう

2019/06/19 1:34

大変化の時代に
新業態が台頭する

 平成時代の後期に起こった「デバイス&SNS革命」によって、オンライン小売業が急成長した。デバイス革命を牽引した初代「iPhone」が登場したのは平成19年(2007年)と、わずか10年ちょっと前の出来事である。また、SNS革命を牽引したFacebook、Twitter、YouTube、Gmail、InstagramなどのSNSサービスは、平成22年(2010年)から急速に普及したものであり、平成時代の中頃には存在すらしなかった。
 こういう急激な変化が起きる時代は、既存の業態が衰退し、新業態が登場し、台頭するというのが小売・流通業の過去の歴史である。
 令和時代に入って、すでに業態の栄枯盛衰の兆しは表れている。平成元年16,466店だった店舗数が、平成30年には55,743店と3.5倍に増加し、平成時代の小売業の王様になった「コンビニ」の出店数に急ブレーキがかかっているからだ。
 大手コンビニ4社の2016年度の純増店舗数(出店数-閉店数)は1,600店だったが、年々純増店舗数が減少している。そして、2019年(令和元年)の主要4社の新規出店計画は2,090店、閉店計画2,050店、純増店舗数40店と、店舗増加率が一気にスローダウンする。
 セブン−イレブンは今期(2018年度)の純増店舗数が616店に対して、来期(2019年度)は100店と大きく減少。ローソンに至っては、2019年度の「純増店舗数ゼロ」を計画している。

ショッピングモールの
廃墟化が進むアメリカ小売業

 アメリカの小売業界は日本よりもはるかに早く、そして急激に、リアル小売業の主役が交代している。アメリカ小売業は、2017年に約5,000店も閉店した。これはアメリカの小売業界にとって記録的な数字である。2018年も5,000店を上回る小売業が閉店し、さらに2019年は、3月時点ですでに4,300店舗の閉店が発表されている。
 アメリカ小売業は、未曽有の「閉店ラッシュ」である。とくに、…(続きは本誌をご覧ください


バブル崩壊から始まった 平成時代の30年間を振り返る

2019/05/19 0:47

平成初期の大型投資は
すべて失敗に終わった

 今月号は「令和」元年の第1号になる。令和時代の小売・流通業は、どんな変化を遂げるのだろうか。小売・流通業は、「変化対応業」である。変化の第一は「消費者」の購買行動の変化である。変化の第二は、競合状況や法律改正などの「競争環境」の変化である。
 平成の30年間を振り返っても、「消費者」と「競争環境」という2つの変化に対応できず、衰退していった業態や企業はたくさんある。
 歴史は繰り返す。令和時代も、変化に対応できず衰退していく業態や企業が出るだろうし、逆に、新しい変化の追い風に乗って急成長する業態や企業が台頭するだろう。
 今月号は、平成の30年間にどんな変化が起こったのかを整理してみる。
 平成は「バブル経済」の絶頂期からスタートした。平成元年(1989年)の4月30日に誕生した「マイカル本牧(現・イオン本牧)」は、まさにバブル時代を象徴する大型ショッピングセンターだった。総投資額400億円、初年度年商目標320億円。投資回収期間100年といわれた無謀な投資だった。
 関西のスーパーマーケットだったニチイは、マイカル本牧開店の前年に「マイカル宣言」を行い、社名・店名もニチイからマイカルに変更し、「質販店」なる疑似デパートへの投資に大きく舵を切った。
 マイカルのような戦後成長した小売業の経営は、「土地本位制」が基本であった。土地は上昇し続けるものという「土地神話」によて、ダイエーやマイカルなどの大手小売業は土地を購入し、それを担保に借入を行い、巨大な投資を行った。バブル崩壊までは土地は上昇し続けていたので、土地の値上がりによる「含み資産」を活用して、拡大再生産を行う土地本位制の経営だった。
 マイカル本牧が開店する5年前の昭和59年(1984年)にはダイエーが「プランタン銀座」(現在は閉店)を開店した。これもまた土地本位制に基づいた投資回収期間100年という無謀なプロジェクトであった。
 また、長崎屋(現・ドン・キホーテ)は、北海道の苫小牧に全天候型の遊園地併設のスーパーセンター(Su.C)を開店した。開店披露の記者会見で、Su.Cの中をジェットコースターが走っているのを目撃して、「大根を買ったついでにジェットコースターに乗る客がいるのだろうか」と呆然としたことを、今でも鮮明に覚えている。
 その後、バブルの終焉に合わせるように、ダイエー、マイカル、長崎屋は経営破綻した。まさに平成は、バブル崩壊から始まったわけである。


ROA主義のDgSは
平成に急成長した

 バブル崩壊によって、小売業の経営は、「売上至上主義」から「ROA(総資産回転率×経常利益率)主義」に大きく転換していった。ダイエーの創業者である中内㓛氏の有名な言葉「売上がすべてを癒す」という売上至上主義経営は、平成の始まりとともに終焉していった。
 平成の始まりの頃に…(続きは本誌をご覧ください


「卸売業」の7つの機能を 小売業はもっと活用しよう

2019/04/20 0:27

問屋無用論は
机上の空論だった

 1960年代に大量生産、大量消費の時代が始まり、「流通革命」というムーブメントが起こった。そして、流通の川下だった「小売業のチェーンストア化」が始まった。
 その頃、東大の教授だった林修二氏による「問屋無用論」という学説が唱えられた。流通の川下で、かつ消費者との接点にある小売業がチェーンストア化、大規模化すると、いずれ卸売業(問屋)の機能を小売業が自分たちで持つようになるから、現在の卸売業はなくなってしまうだろう、という学説だった。
 事実、日本の小売・流通業がお手本にしたアメリカの大規模チェーンストアは、卸売業の中核機能である「物流機能」を小売業自身が持っており、いわゆる日本的な総合問屋はほとんど存在していなかった。
 現在のアメリカ卸売業の機能はさらに細分化されている。
zuhyo201905 たとえば、図表1の「メーカー営業・商談代行機能」に特化した会社は「ブローカー」と呼ばれている。また、「マーチャンダイジング機能」の中で、プライベートブランド開発を専門に行う会社も存在する。
 さらに、品目数が多くて、商品入れ替えの頻度の多い、つまり、売場管理が大変なカテゴリーを小売業に任されてマネジメントする「カテゴリーベンダー」(売場貸し)という機能も存在する。
 しかし、問屋無用論から60年以上が経過しているが、日本の卸売業は独自の進化を遂げて生き残っている。今回トップインタビューで掲載した卸売業は、日本の流通業にとっては、なくてはならない企業として存在している。
 もちろん、この60年間で卸売業の企業数は大幅に減少している。今回誌面で取り上げた卸売企業も、合併を繰り返しながら成長し、今に至っている。しかし、60年が過ぎても、卸売業はなくならなかった。「問屋無用論」は机上の空論だったと歴史に証明されたわけだ。

昔の「商人」とは
卸売業者のことだった

 私は小売業のチェーンストア化が加速していた時代に、小売業の専門記者としてのキャリアをスタートした。…(続きは本誌をご覧ください


2種類の「必需品」を強化することが 小商圏業態の必要条件である

2019/03/19 23:34

「洗濯」「掃除」「炊事」
の三大家事活動は核売場

 DgS(ドラッグストア)のような小商圏業態にとって、エブリデーエブリボディグッズ(誰もが毎日使う商品)である「必需品」を核売場にすることは不可欠である。商圏内に暮らす消費者に、必需品を購入目的に頻繁に来店してもらうことによって、小商圏でも客数を増やすことができる。
 必需品の代表は、「洗濯」「掃除」「炊事」の三大家事活動である。さらに加えて、「歯磨き(オーラルケア)」「入浴」も、誰もが毎日行うものである。
 とくに、オーラルケアの市場成長率は高く、最近のDgSでは、棚13本の広い売場面積でオーラルケアを展開する店舗もあるほどだ。「洗濯」「掃除」「炊事」の実行者がいまだ女性に偏っているのに対して、オーラルケアは、老若男女を問わない毎日の習慣であり、客層が広く、買い替え頻度も高い。広い客層に、繰り返し来店を促す、小商圏業態の戦略カテゴリーであるといっていい。
 いずれにしても、誰もが毎日行う家事活動や習慣に関わる売場を地域一番化することは、小商圏業態にとっては非常に重要なMD戦略である。

zuhyo_201904購買頻度の違う
2種類の必需品がある

 「必需品」は、「使用頻度も購買頻度も高い消耗品」と「使用頻度は高いが購買頻度は低い耐久品」の2種類がある(図表1)。
 今月号の特集で掲載した「関連商品」で考えると、洗濯洗剤、柔軟剤は消耗品的な必需品である。一方、物干し、布団たたきなどは耐久的な必需品である。角ハンガーやピンチなどは、洗濯洗剤ほど購買頻度は高くないが、耐久品とまでは言えないので、「準消耗品」といっていいだろう。
 業態によって、耐久的な必需品をどの程度の品目と面積で品揃えするかが異なる。「近くて便利」を武器にするDgSのような小商圏業態は、洗濯洗剤などの消耗品の面積を思い切り広く確保し、角ハンガーなどの「洗濯用品」を絞り込んで品揃えするのが一般的である。
 一方、HC(ホームセンター)などの中商圏業態は、洗濯洗剤などの消耗品も取り扱うが、角ハンガーなどの準消耗品の用途・機能を幅広く品揃えしている。たとえば、「ジーパンも干せる角ハンガー」などの高機能商品を取り扱うことで、目的来店性を高めている。
 図表1で示したように、消耗品的な必需品は、よく売れるが、粗利益率はそれほど高くない。商品や売場の儲けを表す「交差比率」の考え方では、低粗利益率×高商品回転率(年・回)によって儲ける「薄利多売」の構造であることが多い。たとえば、粗利益率が20%でも、商品回転率(年・回)が10回転であれば、20%×10回転で交差比率は200になり、儲けることができる(交差比率が200を超えることが儲かっていることの目安)。

……(続きは本誌をご覧ください


「現場」と「数値」の両方がわかる 経営感覚のある「店長」を目指そう

2019/02/18 23:38

店内作業を習得することが
店長教育の出発点

 今月号の特集は、恒例の「店長特集」である。店長に必要な資質は、「現場のリアリティ」と、「数値に基づいて判断できる能力」の両方を持つことである。経験と勘によってのみ判断し、数値を軽視してはならない。一方、現場のリアリティを無視して、数値だけで判断してもならない。
 たとえば、「在庫を減らせ」と本部から指示が来ると、現場では売れ筋の発注をしなくなる。売れ筋の発注抑制が、もっとも手っ取り早い在庫削減策であるという現場のリアリティを理解した上で、数値に基づいた在庫調整を行えるスキルが店長には求められる。
 以前聞いた話ではあるが、セブン−イレブン本部の新入社員は、加盟店の棚卸作業を経験することからキャリアをスタートするという。実地棚卸を何度も行うことで、商品のことを覚え、どんな商品が売れ筋であるか、売れ筋の欠品はどの程度あるか、売れ筋の陳列面積は適正か、死に筋が売場のどのくらいの面積を占有しているか、などの現場のリアリティを身をもって理解することができる。
 20代の店長候補者は、棚卸作業を含めた「店内作業」を完璧に習得することからキャリアをスタートすべきである。店長のもっとも重要な職務のひとつは、OJT教育(自ら手本を示して部下に作業を教えること)によって店内作業の水準を底上げし、人によるバラツキを少なくすることである。
 つまり、店長やSVは、誰よりも店内作業を早く完璧にこなすスキルが求められる。そのためには、新しいレジ作業や、新しい発注の仕組み、新しい売場管理など、日々更新される新しい店内作業を習得する努力を怠ってはならないと思う。
 こうした現場のリアリティを体得しながら、数値で判断できる能力を持った人材が、企業の屋台骨を支える「経営管理者」になることができる。
 今回の店長特集では、「売場の数値の見方」に関してもページ数を割いているので、店長教育のツールとして活用いただければ幸いである。

店内作業の実行と徹底が
店長の最大の職務

 多店舗展開するチェーンストアの組織は、大きくは「商品部」と「店舗運営部」に分けることができる。商品部や販促部がMD(マーチャンダイジング)の計画部隊であるのに対して、店長やSV(企業によってはエリアマネジャー)が属する「店舗運営部」は、MDの実行部隊である。
 多店舗展開するチェーンストアは、企画や計画も重要であるが、……(続きは本誌をご覧ください


「生産性」の向上努力は ES(従業員満足)の向上にも直結

2019/01/22 23:29

労働人口の減少で
生産性革命は待ったなし

 今月の特集は、小売・流通業の「生産性向上」である。労働人口の減少によって、小売・流通・サービス業の現場の深刻な人手不足は今後も続く。現在でも、小売・流通業の現場では、「人が集まらない」「採用コストが増加している」「定着率の低さに悩んでいる」という、悲鳴にも似た声が聞こえてくる。
 人手不足の影響は、人件費の上昇、引いては販管費の上昇を招いている。本誌2018年10月号の『DgS(ドラッグストア)白書』によれば、上場DgS14社の平均の販管費率が、2016年21.2%が、2018年は21.7%と0.5ポイントも上昇している。上場14社のうち、Genky、キリン堂、マツモトキヨシ以外の11社は、すべて前年よりも販管費率が上昇している。
 労働集約産業である小売・流通・サービス業の「生産性革命」は、今年以降のもっとも重要な経営課題であることがわかる。
 しかし、生産性の向上だけを目的に、顧客接点である売場の無人化を進めすぎると、リアル店舗である意味がなくなってしまう。今月号のインタビューの中で、ココカラファインの塚本社長が、「おもてなしスマートストア」と、あえて「おもてなし」という言葉を加えた理由は、ITを活用した生産性の向上と、接客などのリアルな「買物体験の質の向上」を両立させようという意図であることがわかる。これからのリアル店舗の生産性向上は、アマゾン対策としても、顧客との接点は人間が丁寧に保ちながら、接客を強化する必要がある。一方、顧客接点以外の単純作業は、徹底的に省人化・無人化を進めるべきである(26ページのパルタックの記事参照)。顧客接点は有人化、それ以外は無人化の二面作戦が、これからの小売・流通業の生産性向上のロードマップである。

ESとCSの向上は
車の両輪である

 本誌で何度も繰り返しているが、CS(顧客満足)とES(従業員満足)は車の両輪である。CSを高めるためには、ESを向上することが不可欠の条件になる。ESが低い店が、不思議とCSだけが高いということはあり得ない。ESが低い店員は、おもてなしの配慮もなく、来店客に関心を払わないので、当然、CSも低くなる。
 小売・流通・サービス業におけるESの向上とは、従業員に「この会社・お店で働き続けたい」と思われることである。ESが低くて短期離職が絶えず、常に人手が足りない店や、やる気の無い従業員がダラダラと働く店では、陳列・クリンリネス・接客・レジ対応など、あらゆる面で目にみえるほころびが出る。
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 一方、従業員がやりがいを持って働いている店は、採用コストが抑えられるだけでなく、業務への習熟による生産性の向上にもつながる。ESの向上は、生産性の向上にも大きな影響を与える。ES向上→CS向上→生産性向上の良いサイクルをつくることが重要である(図表1)。

作業改善、マニュアル化は
ESの向上に大きく寄与する

 一方、生産性の向上のために、作業改善、作業の省力化を進めることが、……(続きは本誌をご覧ください


最新テクノロジーによって 小売業の「欠品対策」が変わる

2018/12/18 0:38

欠品対策は
最大の売上対策

 「小売業の売上を上げる方法は何ですか?」と質問されると、「最大の売上対策は欠品を減らすことですよ」と答えることにしている。古今東西を問わず、小売業にとってもっとも優先順位の高い売上対策は、店頭の欠品を減らすことである。
 しかも、人口減少、狭小商圏時代に突入し、過激な販促で広域から集客する商売のやり方は通用しなくなる。狭小商圏に住む限られた固定客の繰り返し来店によって商売が成り立つ時代は、欠品を減らす「機会損失対策」がますます重要になる。
 「販売促進」による売上増よりも、「機会損失対策」による売上増の方が優先される。
 「欠品」には3種類ある。第1の欠品は「ゼロ欠品」であり、陳列棚にあるべき商品が存在しない状態のことである。一般的に店頭欠品とは、ゼロ欠品のことをいう。
 第2の欠品は、「品薄状態」であり、「心理的欠品」ともいわれる。消費者は、一定の陳列量を下回ると、心理的に購入をためらう傾向がある。陳列棚にフェース1奥行き1で残った品薄状態も、心理的に購入されなくなるので、欠品と定義される。
 逆に、ある一定の陳列量を超えると、急に売れ始める「陳列量の爆発点」も存在する。心理的な欠品(機会損失)を防ぐためにも、爆発点を超える陳列量を維持することが重要である。
 第3の欠品は、「完全欠品(VOID)」である。陳列棚に商品も棚札も存在しなくて、その商品のフェースが消失した状態である。
 たとえば、春の棚替え直後にゼロ欠品し、なんらかの理由で棚札も消失した商品は、秋の棚替えまで売場から消えたままである。完全欠品する商品は売れ筋なので、非常に大きな機会損失になる。

自宅にいながら在庫数・
欠品状況を確認できる

 星の数ほど店が存在する中で、わざわざ時間を使って来店したのに、陳列棚に購入予定の商品がなかったという消費者の怒りは大きい。日本人の多くは店に文句は言わず、黙って二度と来なくなる。欠品による店への信頼の失墜は大きい。
 その解決策として、……(続きは本誌をご覧ください


「顧客満足」向上の戦いは 僅差の勝負に突入した!

2018/11/17 0:40

1企業10店以上の調査で
標準化のレベルを測定した

 ドラッグストア(DgS)の調査なので、スーパーマーケットやホームセンターの読者、メーカーの読者の方々は関係ないと思われるかもしれないが、アマゾンとの激烈な競争、そして星の数ほど店がある中で、「わが店、わがブランドを選んでもらう努力」をすることは共通の経営課題である。
 顧客満足度を高める努力を継続することこそが、「リアル店舗に行く価値」を高めることにつながる。
 昨年の調査店舗数が「30社×1企業5店舗=150店」だったのに対して、今年は「39社、509店舗」を調査した。昨年の1社5店舗の調査に対して、今年は平均で1社10店を超える調査を行った(その企業の店舗数によって調査店舗数は変更)。
 毎年1企業で複数の店舗を調査する理由は、多店舗展開するチェーンストアの最大の顧客満足対策は、店による、人による「バラツキ」を極力少なくすることだと考えているからである。
 「〇〇ストア」という看板(ブランド)を信用して来店したのに、A店の接客は素晴らしいが、B店の接客は最悪とういう状況は、〇〇ストアというブランドを信頼して来店した消費者に対する裏切り行為である。
 月刊MDの顧客満足度調査では、「どの店に行っても」「誰が担当しても」バラツキの少ない状態を維持していることを非常に重視している。バラツキが少ないということは、「標準化」のレベルが高いということである。つまり、「標準化」こそが、チェーンストアの最大の顧客満足対策なのである。
 今回、1企業当たりの調査店舗数を増やしたのは、「たまたま調査した店がダメで、運が悪かった」という当たりはずれを極力少なくし、その企業の標準化のレベルをより正確に測定するためである。
 また、前回の調査では、1企業5店舗の調査なので、古い店舗が混じると不公平かもしれないと考えて、開店5年程度の新しい店舗に絞って調査したが、今回は調査店舗数が多いので、店舗年齢はとくに考慮しないで調査店舗を選んだ。
 顧客満足度向上のためには、古い既存店を放置せず、店舗改装(リブランディング)を計画的に行うことも重要であり、あえて店舗年齢の古い店舗も入れている。
 さらに、今回の調査は、その店や企業のことをよく知っている「地元に住んでいる女性」が調査員である。日頃、その店を利用している、「あなたの店の固定客」の意見も多いことを強調しておきたい。

総合満足度のレベルは
年々向上している

 いつも言っているが、この顧客満足度調査は、順位をつけることが目的ではない。あくまでも、標準化を徹底し、顧客満足を向上させるための参考資料になればいいと考えて毎年実施している。当然、調査店舗のあたり外れ、調査員の個性などで、辛口だったり、甘口だったりすることもあるので、順位で一喜一憂はしないでもらいたい。
 今回の顧客満足度調査で特筆すべきことは、…続きは本誌をご覧ください


「企業文化づくり」に始まり 「企業文化づくり」に終わる

2018/10/19 0:40

行動が変わることで
企業文化は強くなる

 企業経営は、「企業文化づくり」に始まり、「企業文化づくり」に終わると言われている。企業文化の強さが、その企業の真の競争力であるといっても過言ではない。
 企業文化の強さがもっとも試される時は、天災などの予想外の出来事が発生したときである。今年は不幸にも、「西日本大豪雨」「北海道胆振東部地震」と立て続けに天災に見舞われた(被災者の皆様には誌面を借りて、深くお見舞い申し上げます)。
 企業文化とは、その企業の「経営理念」や「経営哲学」が、単なるお題目ではなくて、その企業に属する社員全員の意識に深く浸透し、それが全員の「行動」の変化に結びついた状態のことをいう。
 すべての企業は、「顧客第一主義」「店は客のためにある」などの素晴らしい経営理念を掲げている。しかし、経営理念は素晴らしくても、現場社員の行動は、客のことなどまるで考えていない組織はたくさんある。企業文化の強さは、組織に属する全員の「行動」が変化したときに初めて、達成できるものである。
 そのためには、経営理念を具現化する「行動改革」を何度も何度も繰り返し教育し、こういう状況のときには、こういう行動をとるべきだということを全員が共有化できるまで徹底することが大切である。
 災害時に、本部と連絡の取れない非常事態でも、現場の判断で正しい行動を選択できる「強い企業文化」をつくった組織が、最終的に競争優位に立つことができる(図表1)。
zuhyo01_201811 先日の「北海道胆振東部地震」の際にも、停電でほとんどのコンビニが閉店している中、ツルハドラッグの某店舗が現場の判断で、停電のまま部分営業で店を開けて、現地の人から「こんな時に店を開けてくれてありがとう」と、とても感謝されているという現地情報を聞いた。
 「災害時には一刻も早く店を開ける」という企業文化が現場に定着していることがわかる。と同時に、小売業はまさに地域の暮らしを守るライフラインであると実感できる。
 また、前月号で取材した水害時の「くすりのレデイ東大洲店」(四国)の現場対応に関して、「レデイ薬局では企業文化の定着に一定程度成功していると実感しました。これは、不幸なできごとからの大きな収穫だったと思います」と経営幹部が感想を述べていたのが印象深かった。
 これからの時代は、店があるだけでは競争には勝てない。最大の競争対策は、強い企業文化づくりである。
 すべての社員・パートタイマーが、その企業の経営理念を具現化するための行動を取れるようになることで、組織は強くなり、店に魂が宿る。

企業文化が崩れると
企業経営は崩壊の危機に

 しかし、強固と思われた企業文化も、あっという間に崩れることがある。本誌12月号で毎年掲載している「顧客満足度調査」の途中経過を参照していると、数年前までは顧客満足度上位の常連企業だった某DgS(ドラッグストア)の現場が崩壊している実態が浮き彫りになって驚いている。
 昨年までは、1企業5店舗の調査だったが、今回は全国500店の調査なので、1企業当たりの調査店舗数は10店以上となっており、「たまたま調査した店舗がひどかった」という言い訳は通用しない。
 顧客満足度を大きく低下させたDgS企業は、…(続きは本誌をご覧ください


小商圏主義、ROA主義、 粗利ミックス力がDgS成長の源泉

2018/09/17 0:05

 今月は毎年恒例のDgS(ドラッグストア)白書である。第1回目の白書を掲載した当時は、売上高ランキングは上位50社を掲載していたが、その後、M&Aなどで企業数が減少、寡占化が進み、現在は売上高上位30社を掲載している。
 売上高5,000億円を超えている企業は5社で、その総売上は3兆円を突破した。上位5社の売上高(約3兆円)は、SM(スーパーマーケット)企業の上位5社の売上高を凌駕しており、SMを超える「生活ストア」として日本人の暮らしに定着していることがわかる。
 GMS(総合スーパー)、HC(ホームセンター)などが成長した後に、もっとも最後に登場した「総合業態」であるDgSが、この20年間で急成長した最大の理由は何だったのだろうか?

小商圏のドミナント出店で
大商圏業態からシェアを奪う

 DgSが成長した第1の理由は、「小商圏のドミナント(高密度)出店」である。DgSが登場した当時は、CVS(コンビニ)を除く業態は、「大商圏主義」であった。
 たとえば、GMSのダイエーやイトーヨーカ堂の繁盛店は、「1店舗年商100億円」を超える店舗が何店舗もあった。当時のGMSは、広域商圏から集客することで大きな売上をつくる大商圏業態だった。
 DgSは、GMSやHCよりは売場面積は小さかったが(当初は150坪から250坪程度)、小商圏でドミナント(高密度)出店することで、面で商圏を押さえる出店戦略で成長した。
 GMSよりも売場面積は小さくても、「近くて便利」が消費者ニーズとしては最強であり、大商圏業態のGMSの売上を、薄皮をはがすように奪っていった。
 現在年商5,000億円を超えている某DgS企業が初期の頃に、3万人の市に300坪DgSを出店し、繁盛したが、すぐに同じ市内に2号店を開店した。不思議なことに2店とも繁盛したが、その企業はさらにもう1店を同市内に開店した。これで終わりかと思ったら、さらに4店目を開店した。このようにDgS企業は、意図的に「自社競合」を起こしながら、高密度のドミナント出店を行ったわけである。
 1店当たりの売上はGMSよりも小さいが、面(店舗網)で抑えた商勢圏の市場占拠率(シェア率)は、大商圏業態のGMSよりもはるかに高くなっていった。
 DgS成長の第2の理由は、DgSの主力であるHBC(ヘルス&ビューティケア)の市場が大きく拡大したことである。人口減少によって「食べる量」は減るが、人間の根源的な欲求である「健康でいたい」「美しくありたい」という欲求を満たす市場は、1990年代後半から大きく成長した。
 とくに「パーソナルケア」と呼ばれる消費者の個別の欲求を満たす市場が大きく成長したことも、DgSにとっては追い風になった。たとえば、1980年代には棚2本程度しか売場面積のなかった「ヘアケア」の売場は、現在は最大で棚14本程度まで拡大している。品目数が大きく増えた理由は、「ダメージケア」「ノンシリコン」「ボリュームアップ」「ボタニカル」といった消費者のパーソナルな欲求を満たすセグメントが増えたからである。


売上至上主義から脱却し
ROA主義で安定成長した

 月刊MDを創刊した年は1997年である。その年は、日本の小売業の総売上が約147兆円とピークを迎えた年である。その後、小売業の総売上は減少を続けており、最新の商業統計では約127兆円。この20年間で約15%も売上が減少したことになる。
 つまり、…(続きは本誌をご覧ください


顧客接点(接客など)は有人化を残す 単純作業は省人化・省力化を進める

2018/08/18 22:53

アマゾンは「信者」を増やすために
ホールフーズを買収した

 今年の5月中旬から、アマゾンのプライム会員がホールフーズで買物をする際に、数百種類のセール品の価格が、さらに10%割引になる特典の提供を開始した。一気に店舗数を拡大し、2018年6月中旬には総店舗数480店舗の大半を占めるアメリカ国内の店舗で10%割引の特典を受けられるようになった。
 また、アマゾンで注文した商品を最短1時間以内で配達するプライム会員向けサービス「Prime Now」の対象商品に、ホールフーズの商品を加えた。さらに、Prime Nowの利用客も、ホールフーズの店舗で購入するのと同じ10%割引の特典を受けられるようになった。
 日本のプライム会員の年会費3,900円と比べると、アメリカのプライム年会費は119ドルと、日本の2倍以上もする(今年に入って従来の99ドルからさらに値上げした)。年会費は高くても、「Prime Now」(最短1時間の配送サービス)、「Prime Music」(音楽聞き放題のサービス)、「Prime Video」(映像ストリーミングサービス)などのプライム会員特典を考えると、119ドルの年会費を支払ってもお釣りが来ると考えるアメリカの消費者が多く、プライム会員は増え続けており、世界で1億人を突破した。
 アマゾンは、ホールフーズのようなリアル店舗への参入が目的というよりも、プライム会員の特典を増やす(年119ドル支払ってもいいと思わせる)ために、ホールフーズでの10%割引を始めたようだ。「オーガニック商品の品揃えは素晴らしいが、値段が高い」といわれ続けてきたホールフーズの商品を、低価格で購入できる特典は、アマゾンプライム会員の「固定化」と「新規会員獲得」に大きく貢献すると思われる。
 「アマゾンプライムの信者」を増やすための布教活動の一環が、ホールフーズの買収といってもいいと思う。しかも、「119ドルの年会費がアマゾンの利益」、さらに「AWS(アマゾンウェブサービス)のような物販以外の事業で莫大な収益」を上げていることを考えると、アマゾンは、リアル店舗の利益はゼロでもよいと考えている。
 アマゾン教の信者が増加していくと、原価80円で仕入れた商品を20円の利益を乗せて100円の売価で販売するという、従来の商売のやり方が根底から崩れていく。「店舗は利益ゼロでもいい」というアマゾンに、小売業は価格では太刀打ちできなくなるだろう。「アマゾンでは手に入らない価値」を提供すること以外、リアル小売業が生き残る道はないと思う。

顧客接点である売場は
買物体験の質を高める

 つまり、リアル小売業すべてに共通する経営テーマは、「アマゾンといかに差別化するか」である。アマゾンには存在しない、リアル店舗に行く価値とは何だろうか?
 第1は、…(続きは本誌をご覧ください


店舗のブランディングこそが リアル店舗のアマゾン対策である

2018/07/18 8:28

粗利対策だけが目的の
PB開発からの脱却

 今月の特集は、「PB(プライベートブランド)開発最前線」。ネットでなんでも買える時代にあって、わざわざリアル店舗に時間と手間をかけて来店してもらうためには、アマゾンでは買えないオリジナル商品の価値を高めていくことが、ますます重要になっている。
 かつてのPB開発は、「粗利対策」がもっとも重要な目的だった。パッケージはNB(ナショナルブランド)そっくりで、売価は半値、しかし粗利益率は50%もあるので、PBを推奨販売すれば、店全体の粗利益率の改善につながった。経営対策としては決して間違ってはいないが、ネット販売の台頭、オーバーストアの中で、「顧客に選ばれる店」になるためには、企業の都合だけではなくて、「カスタマーファースト」を中核にしたPB開発の根本的な見直しをすべきである。
 DgS(ドラッグストア)でも、NBの鎮痛剤「バファリン」にそっくりの「バッサリン」という名称のPBや、NBのシャンプー「ダヴ」にそっくりの「ダウアー」という名称のPBがある。初めて見た時は、私も若かったせいかセミナーで「こんな品のないPBをつくって恥ずかしくないのか?」と文句をいい、PB開発担当者から嫌な顔をされたこともあった。
 これからの小売業のPB開発は、パクリPBから脱却し、開発コンセプトや世界観を明確にした、本当の意味での「ブランディング」を行うことが不可欠の戦略になる。価格の安さ以外の付加価値をつくり、その企業のPBがあるから、わざわざその店に来店するような強固なブランドとして育成することが重要であろう。

定期的なリブランディングで
ブランドを磨き続けよう

 これからのPB開発で絶対にやってはいけないことは、…(続きは本誌をご覧ください


ハイブリッド戦略で 「低価格」と「接客」を両立しよう

2018/06/18 11:20

低価格志向の
消費者が増える

zuhyo01_201807 少し古い資料ではあるが、定年退職者、年金生活者などの高齢者が増加すると、日本の消費者の「可処分所得」は減少していく。また、平均消費性向(可処分所得-消費支出)も、右肩下がりに低下している。とくに、60歳以上の高齢者の平均消費性向が大きく減少していることがわかる(図表1)。平均寿命が延びており、年金所得だけの将来に不安を感じて、消費よりも貯蓄に回す高齢者の消費性向が見て取れる。
 また、東京に住んでいると、最近の消費者は、高くても良いものを買う。安いだけの商品は売れない、という誤った消費者像に陥ることがある。東京という特殊な市場の消費傾向がすべてと思わない方がいい。

 もちろん最近の消費者は、SNSの情報によって、商品の価値を検索・比較し、良いものと悪いものをよく知っている。しかし、可処分所得の枠は限られているので、最近の正しい消費者像は、「必需品に関しては価格に敏感でなるべく安い商品を購入する反面、自分のこだわりの消費に関しては高単価商品の購入もためらわない」であると思う。
 月刊MD5月号の「SM(スーパーマーケット)の逆襲」という特集の中で、同一エリアで競合しているSMのオーケーストア、ヤオコー、ライフと、DgS(ドラッグストア)の食品と日用品の売価調査を行ったが、調査品目の多くがDgSよりもSMの方が安いことに衝撃を受けた。
 R-1ヨーグルトドリンクタイプはオーケーストアが117円の最安値、DgSの最高値は126円だった。高付加価値型のSMを展開するヤオコーも、「もやし」を最安値の19円で値付けしており、完全にDgSの売価を意識している。非食品も、ポンプ式ハンドソープの最安値は、ヤオコーのPBの198円だった。

業態間の価格競争は
今後も激化していく

 かつてのように、SMの加工食品と日用品の売価は高いので、安売りで集客するというDgSの成功体験は通用しにくくなっている。価格に敏感な消費者が増えることによって、「必需品」の業態間の価格競争はさらに激化していく。
 すべての商品を安く売る必要はないが、…(続きは本誌をご覧ください


ワンストップショッピング傾向が 高まる時代の「売場レイアウト」

2018/05/18 0:17

売場レイアウト技術が
非計画購買を高める

 6種類の「購買心理」を図表1に整理した。「計画購買」の第1は、事前に購入商品を決めて来店し、その商品を迷わず購入する計画購買。第2は、事前にカテゴリーの買物(たとえばシャンプーを買いに行く)を決めて来店し、店頭でブランドを選択する計画購買。第3は、事前に購入商品を決めていたが、店頭でブランドスイッチする計画購買の3種類がある。純粋な計画購買は第1だけである。
 第2と第3の計画購買は、58ページからの情報発信の企画で紹介したPOPや動画などの店頭での「情報発信」によって、自社の推奨品やPBにブランドスイッチを誘導することができる。図表1

 一方、図表1の「関連購買」以下の5項目は、すべて「非計画購買」である。つまり、来店後に売場を回遊しながら、非計画的に行う購買行動である。非計画購買の多い店は、結果として買上点数が増えて、ワンストップショッピング性が高まる。
 ID-POSの専門家であるJBtoBの奥島晶子氏によれば、SM(スーパーマーケット)のID-POSの5年間の経年変化を分析すると、高齢化率が高まると、顧客の「ワンストップショッピング傾向」が強まるという。
 たとえば、58歳の顧客が5年たって63歳になると、冷凍魚、冷凍食品、パウチ総菜などの単独世帯対応の商品の買上率が高まると同時に、トイレットペーパーや衣料洗剤などの「消耗雑貨」の買上率が高まるそうだ。
 つまり、従来は、衣料洗剤やシャンプーなどの日用雑貨はDgS(ドラッグストア)で購入し、食品はSMで購入していた顧客が、食品と同時に日用雑貨も購入するというワンストップショッピング志向が高まるという意味である。業態間の垣根が低くなり、業態間のワンストップショッピング競争が激化する。
 最近は、コンビニもシャンプーの詰め替え用を低価格販売したり、トイレットペーパーの価格をかつてよりも値下げしている。
 これからの購買のトレンドであるワンストップショッピング、つまり買上点数を自然に増やすことに、もっとも大きな影響を与える小売業の技術が「売場レイアウト」である。

ルーラル立地は
TPOS分類が重要

 今月号の売場レイアウト特集では、SMのヨークベニマルとヤオコーの売場レイアウトと、中分類(カテゴリー)別の尺数表を掲載した。最近は、ヨークベニマル、ライフのような大手SMが意図的に…(続きは本誌をご覧ください


あの手この手の売上増よりも 「店頭ロス」を減らすことが重要

2018/04/19 10:53

需要をつくるよりも
需要に合わせる時代に

 人口減少、EC企業との競争によって今後、リアル小売業の売上が大きく増えることはない。こういう時代においては、過激な割引セールや、ポイント10倍などの販促のあの手この手で、前年比の売上を無理やり増やすよりも、「店頭ロス」を減らすことの方が、売上と利益を増やす優先対策である。
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 店頭で発生しているロスを整理すると、図表1の6項目になる。店頭ロスの第1は、「欠品による機会損失」である。売上減少時代において、もっとも優先順位の高い売上対策は、店頭欠品の撲滅である。しかも、欠品は「ゼロ欠品」だけが欠品ではない。
棚札も商品も消失した「VOID(完全欠品)」や、「品薄」によって購入をためらう「心理的欠品」も欠品である。商品を売るためには、心理的に購入したくなる「陳列量の爆発点」を維持する必要がある。
 しかも、視力の悪い高齢者が増加する今後は、陳列量の爆発点はますます重要になる。ある小売業の調査では、高齢者がよく購入する商品の売価はそのままで、陳列量だけ3倍に増やしたところ、その商品の売上は大きく増加したそうだ。
 店頭ロスの第2は、日配品や総菜などの「廃棄・値下げロス」を減らすことである。これからの時代は、あの手この手の販促で需要を無理やりつくるよりも、需要に合わせていく、つまり需要予測の精度を高めていくことの方が重要である。zuhyo02_201805
 図表2は、おにぎりの廃棄ロスが年間で1,000億円もあった「ファミリーマート」が、AI(人口知能)を活用した自動発注に切り替えたところ、30%もあった発注誤差が、3週間後には発注誤差が9.68%に減少したという成功事例である。
 IT技術を活用して需要予測の精度を高めて、欠品による機会損失を減らし、在庫過多による廃棄・値下げロスも減らし、「適正在庫化」を進めることが、成熟市場における最大の売上・利益対策であるといっていいだろう。

完全作業力の向上で
失われた売上を取り戻そう

 店頭ロスの第3は、…(続きは本誌をご覧ください


需要予測の精度を高めて 売れる量だけをつくる時代へ

2018/03/17 16:08

小売業の売上は
間違いなく減少する

図表1 アマゾンの売上が18兆円を超えた。リアル店舗の成長率をはるかに凌ぐ上昇率だ。ネット販売との競争、人口減少によって、日本の小売業は、間違いなく売上が減少する。図表1は、商業統計に掲載された日本の小売業の総売上(年間販売額)、総売場面積、企業数(事業者数)の推移を図表化したものだ。日本の小売業の総売上は、1997年の約147兆円をピークに右肩下がりに減少していることがわかる。2016年の総売上は約127兆円と、ピーク時と比較すると、この20年で約15%も総売上が減少している。
 一方、総売場面積は、1997年以降も増加していた。総売上が減少しているのに、総売場面積が増え続けた2007年までの10年間は熾烈なオーバーストアの時代であったといってよい。しかし、2007年から2016年までの期間は、総売場面積も減少に転じている。
 小売業の企業数(事業者数)は、ものすごい勢いで減少している。日本の小売業の寡占化が一気に進んでいることがわかる。

 1997年以降の右肩下がり時代に急成長したドラッグストア(DgS)は、右肩上がり時代に成長したGMSなどの業態が「売上至上主義」だったのと異なり、売上よりも収益性を重視するROA(総資産対経常利益率)主義だった。また、当初から大商圏主義ではなくて、「小商圏・ドミナント出店」だった。これらの経営戦略は、右肩下がり時代に適したものだったことが、DgSの急成長のひとつの要因だった。
 しかし、これからのネット販売との熾烈な競争を考えると、リアル小売業は…
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AI、ロボット化による 生産性革命は待ったなし

2018/02/18 12:34

第2の創業期の
10年をスタートします

 約20年前に月刊MDを個人で創刊しました。今年から創刊21年目がスタートしています。20年もよくもったな、20年やってもこの程度か、などと個人的に思うところはいろいろとありますが、242号(今月号)を途切れずに出し続けたことは誇りに感じています。
 私自身も創業から20年を経て、普通の会社員なら定年を意識する年になりました。しかし、健康であれば最低でもあと10年は第一線で頑張りたいと思います。とはいえ、会社の寿命は20年ともいわれており、従来のビジネスモデルの延長線上に、未来の発展はありません。われわれも変化対応できないかぎり生き残れないと感じています。
 今年は、6月を目標に『MDNEXT』という名称のWEBメディアをいよいよスタートさせます。現在、鋭意準備中ですのでご期待ください。
 東京に住んで電車に乗っていると、新聞、週刊誌、漫画などの紙媒体を読んでいる人をみかけることが本当に少なくなりました。私自身もマンションに住んでいるので、いちいち下まで新聞を取りに行くのが面倒で、スマホで読める「電子版」を購読しています。速報性が重要なニュースなどの情報は「紙媒体」から「スマホ」という流れは一気に加速しました。
 月刊MDはもともと速報性の必要なニュースはあまり掲載しない方針で、1号完結の「書籍」に近い編集内容を心がけてきました。書籍的な紙媒体はこれからも残るとおもいます。
 とはいえ、PCやスマホの閲覧性は加速度的に進歩しており、ウエブ版のMDNEXTを創刊することにしたわけです。新しいことに挑戦することの高揚感は、久々に感じる刺激です。月刊MDも第2の創業期を迎えているのです。


物流センターの
省人化実証実験

 1月に日立物流の「R&Dセンタ」を視察させてもらった。物流の新技術開発と実証実験を目的としたセンタである。研究開発のテーマは、ずばり「省人化」である。
zuhyo_201803 これからの日本の最大の課題は「労働人口」の減少である(図表1)。小売業、飲食業、物流センターなどの労働集約的な労働現場の人手不足は深刻である。現在でもコンビニや飲食業の現場労働を支えているのは、日本人ではなくて外国人である。図表1のように日本人の労働人口の減少は今後加速していく。
 この労働人口の減少をカバーするのが、外国人労働者の雇用と、もうひとつが「AI、ロボット化」による無人化、省人化の動きである。コンビニもRFIDタグの採用によるレジ清算と棚卸作業の無人化、省人化の実験をはじめる。先月号で紹介したユニクロの子会社のジーユーの無人レジの実験、SMのセミセルフレジ(スキャンは店員、精算は顧客)の導入加速など、新しいテクノロジーを活用した無人化、省人化の実験は始まっている。
 物流センターも同様に、人手不足が深刻であり、作業者の調整も困難な物流センターも多いそうだ。日立物流の担当者によると、3年前までは「省人化」というコンセプトはなかったのだが、労働人口の減少によって、3年前から「省人化」に一気に舵を切ったそうだ。
 R&Dセンタで開発・実証実験していることは、物流センター業務を自動化・省人化することである。


ピースピッキングも
ロボットが行う時代に

 たとえば、物流センターの入荷検品に関しては、…
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総合満足度に影響を与える 「顧客満足度調査項目トップ10」

2018/01/18 23:24

承認欲求を満たす接客が
リアル店舗には不可欠

 2017年12月号で特集した「DgS顧客満足度調査2017」では、統計的な分析手法を用いて、総合満足度との相関係数が高い調査項目の得点を高くした。総合満足度とは、「この店で買物することを知人に勧めることができますか?」(0~10の11段階評価)という質問である。
 その総合満足度に各項目がどのくらい貢献をしているかを確認するために、各項目と総合満足度との相関係数(総合満足度に与える影響の大きさ)を数値化した。
 相関係数の高い調査項目は、「総合満足度」を高めるために改善すべき最重点項目である。別の表現をすれば、「顧客満足(CS)」を高めるために店舗が優先的に改善すべき項目である。
 今回の調査で相関係数を数値化した結果、総合満足度に大きな影響を与える調査項目のトップ10を図表1に改めてまとめたので参照してほしい。
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 ダントツの第1位は、「調査での店舗滞在時間を通して、店舗従業員は常に顧客を意識した(ダラダラしない、従業員同士で私語をしない)行動がとれていましたか?」という質問であった。この質問に対する評価が高い店舗は、総合満足度が高くなる傾向が非常に強いということである。
 人間は潜在的に人に認められたいという「承認欲求」があり、これは人間の根源的な欲求でもある。ネット販売もなく、店も少ない時代では、店頭で無視されて承認欲求を満たされなくても、仕方なくその店で買物をしていたが、これからの時代は「承認欲求」を満たしてくれない店舗は選ばれなくなる。ネットでなんでも買える時代にあって、リアル店舗の最大の顧客満足対策は、「承認欲求」を満たすことであると断言してもいい。
 先日もあるDgSで、対面式レジで従業員2人がずっとしゃべっていた。私がレジに並ぶと私語はやめたが、精算が終了して機械的に「ありがとうございます」といい終わると、まだ私がレジにいるのに、すぐにおしゃべりを再開した。話している途中にレジに並ばれて面倒だなという態度がありありで、「無視された」という印象を受けて、とても嫌なおもいをした。人に認められたいという「承認欲求」を満たさない接客の典型であった。

最新テクノロジーを使った
接客のマニュアル化と標準化

 図表1の第2位、第3位も、「挨拶」と「接客」「問合せ対応」に関する項目であり、店舗従業員が質問したことに丁寧に答えたかどうかが、総合満足度に大きな影響を与えることがわかった。第1位~第3位の項目は、すべて店舗従業員の接客態度に関する項目である。
 これからのリアル店舗は、…
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ICT、AIを使った小売業の 「生産性革命」は待ったなし

2017/12/19 12:17

小売・卸売業の生産性は
米国の3分の1程度と低い

 公益財団法人日本生産性本部の調査(2016年12月)によれば、アメリカを100とした場合、日本の「小売業・卸売業」の生産性は38.4と非常に低い水準にとどまっている。当然、生産性の差が、日米の小売業のROA(収益性)の差につながっている。
 とくに労働集約産業である小売業は、人の「生産性革命」が待ったなしの状況に来ている。今後、労働人口(15歳~64歳)が減少することは確実であり、既にコンビニのレジ担当者の多くは外国人が採用されている。
 人の生産性は、「付加価値(売上、粗利)÷人時数」で表現されるが、人時数を単純に減らすような、仕組化を伴わない人の生産性向上策では現場が疲弊し、ES(従業員満足)が低下する弊害の方が多くなり、逆に生産性が低下する。
 前月号でも述べたが、ESが低い企業や店舗は優秀な人材が退職し、競合企業に転職するリスクが高まる。また、今後は労働人口の減少によって、パート&アルバイトの採用難時代に突入する。ESの低い店舗は採用してもすぐに退職し、採用・教育費用が増加し、すぐに辞めるので熟練したスタッフの定着率が低く、その結果、人間系のサービスレベルが低下し、当然、CSも低下する。
 これからの小売業は、ICT(informationandcommunication technology)、AI(人口知能、artificial intelligence)、ロボットなどの最新テクノロジーを使った「仕組化・省力化」による生産性革命が急速に進むだろう。

ウォルマートペイを
実際に使ってみた

 小売・流通業の中で人時数の多い作業は何だろうか? 小売業の店内作業では、補充作業、発注作業、レジ作業、棚卸作業などに膨大な人手がかかっている。
 今月号で記事を掲載している「関西スーパー」では…
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CS向上=買物体験の質の向上 ES向上=仕組化で店内作業の合理化

2017/11/19 23:49

接客、感じの良さの人間系が
再来店意向に大きく影響する

 今月号の特集は、恒例の「DgS顧客満足度調査」である。この特集は、順位を付けることが目的ではない。
 多店舗展開しているチェーンストアの最大の顧客満足対策は、どの店に行っても、誰が担当しても高次元のサービスを受けられる状態を維持することである。とくに店や人による「バラツキ」を少なくすること、すなわち「標準化」の徹底と維持こそが、チェーンストアの最大の顧客満足対策であるという原理原則を再認識してもらうことが、本特集の目的である。
 詳細は本文を参照してもらいたいが、今回は、顧客満足に大きく影響する項目の配点を多くするなどの統計学的な分析手法を用いた。調査結果を参照すると分かるが、「レジ対応」「接客の態度」「店員が来店客に関心を払っているか」などの「人」に関する項目が、顧客満足に大きく影響することが分かった。
 ネットで何でも買える時代にあって、リアル店舗の価値は「試せる」「触れる」「居心地がいい」「店の人と話をしてアドバイスしてもらえる」というリアルな買物体験である。
 これからのリアル店舗は、CS(customer satisfaction=顧客満足)の向上のために、人と人が接する「リアルな買物体験の質」の向上を目指さなければならない。
 もちろん接客の強化も重要だし、ICTやオムニチャネル化による便利な買物体験の質の向上も目指さなければならない。
 今月号で紹介した「トライアル」のショッピングカートに付けた「タブレットPOS」で、売場案内やクーポン情報を提供するICTを使ったサービスも、買物体験の質の向上につながる。
 こういったICTやオムニチャネルを使ったサービスは、「秒針分歩」の高速度で進化しているので、遅れないように広く社外にアンテナを張っておくことが重要である。
 いずれにしても、企業の都合よりも「顧客満足の向上」を経営戦略と企業文化の中核に据えることに成功した企業が、勝者になることは間違いないだろう。

仕組みがないと現場は疲弊し
CSが低下する

 「接客」や「感じの良さ」などの店舗スタッフの人間系の要素が、CSの向上に大きな影響を与えるとすると、…
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